ブルーロックは、週刊少年マガジンで原作・金城宗幸、漫画・ノ村優介が描くサッカー漫画です。
サッカー漫画でありながら、サッカー漫画とは思えない世界観で人気を博し、2022年秋にアニメ化していますが、
ブルーロックの評判を調べると「怖い」「気持ち悪い」「グロい」等とスポーツ漫画には似つかわしくない言葉が良くあげられています。
ブルーロックはサッカー漫画でありながら、なぜ「怖い」「気持ち悪い」等と言われるのか、調べてみました。
ブルーロックが怖い気持ち悪いと言われる理由とは?
サッカー漫画でありながら「怖い」「気持ち悪い」等と言われる理由は、第一話にかなり集約されているので、まずは第一話から紐解いていきます。
第一話「夢」を解説
ブルーロックの1話について解説していきます。
扉絵のアオリ
サッカー漫画とくれば、読者はサッカー好きや多少なりともサッカーに興味のある人が多数派だというのに、それに対して出だしで「くたばれ」とくる理不尽な攻撃に「は?」となった人は少なくないでしょう。
冒頭の会議
物語は日本フットボール連合会長と、それに対峙する日本フットボール連合新入職員アンリの口論で始まります。
会長「儲かってるからいいじゃーん 結局サッカーってビジネスだよ」
会長「とりあえずいい感じの外国人監督が場繋ぎ日本人呼んで ダメだったらそいつのせいにしてクビにすりゃいいのよー」
会長「ほっといても日本代表ってブランドでウチは儲かるんだしさー」
ブルーロック 第1巻 第1話「夢」
それに対し「(今のままでは)W杯優勝は不可能」と断言するアンリにさらに「本気で信じてんの? 日本がW杯優勝できるって!?」と煽る煽る。
連合トップからの煽りに新入職員のアンリが堂々と暴言交じりにかみつきます。
アンリ「「自分たちのサッカーをすれば勝てる」?」「「日本のパスサッカーは世界に通用する」?」「そんなこと言ってっからいつまで経ってもベスト16止まりなんだよ」
ブルーロック 第1巻 第1話「夢」
お判りでしょうか。
ほんの4ページで、メディアで連呼される慰めを揶揄し、サッカーアンチの皮肉を言語化し、サッカーファンだからこそ日本のサッカーに苛立つファン心理もぶちまけ、日本サッカーの内包する問題の一部を丸裸にしてしまったのです。
これは耳が痛い人も多いでしょうし、楽しむことを第一にしたいエンジョイ勢は興を削がれ、「悪い面ばかり強調しすぎ」と辟易してしまった人もいたでしょうが、
一部の人は正直、胸のすく思いがしたのではないでしょうか。
日本サッカーのFWにはとにかくボールを持ったらまずシュートを狙って欲しいと思ってたし、嫁もバックパス禁止!とか言ってるんでこのコンセプト自体には賛同!
— さいとーぴー(Koji"P"Saito) (@SaitoPPP) October 18, 2022
登場キャラ全部ガンギマリの顔芸でおもろい
#ブルーロック
全国大会を逃した試合
監督の指示があったせいもあり、主人公がゴール前でチームメイトにパスしたら、そのチームメイトがミスったために敗北。
チーム内では群を抜いて実力のある潔自身なら、パスせずにゴールを狙うことも可能だった、という後悔の残る判断です。
監督「チームとして一緒に戦った日々を誇りに思え」「この負けがいつか お前らそれぞれの人生で… えぐっ… うぇっ… 無駄じゃなかったとぉ… 思える時がきっと来るぅ…!」
ブルーロック 第1巻 第1話「夢」
チームメイトのミスには目をつむり、監督が泣きながらどこかで聞いたようなきれいごとで締め、ミスった選手が号泣しながら謝ったり(そして「お前のせいじゃない」と励ます他選手)と、スポーツ漫画ではよくあるシーン、よくあるセリフですが、意図的に滑稽に描かれています。
この描写の仕方で、今まで常識だったスポーツマンシップに苦言を呈す漫画であることがひしひしと伝わってきますし、
そのスポーツマンシップを尊んできた人たちに不快感を与えるように仕組まれています。
青い監獄
気落ちしながら帰った潔の自宅には、日本フットボール連合からの『強化指定選手選出』の通知が届いていました。
通知の通り集合場所に向かうと同年代のサッカー少年たち300人が集められており、突如壇上に表れた絵心 甚八(えご じんぱち)が彼らに語り掛けます。
自分が日本をW杯優勝させるために雇われたこと、そのためにここに集めた300人の中から世界一のストライカーを作る実験をすること。
そのための施設が、彼らの集められた青い監獄(ブルーロック)。
家にも帰れず連絡手段もプライベートもなく、完全に管理された施設で、特殊なトップトレーニングをこなし、自分以外の他者全員を蹴落とすサバイバルに勝ち抜いたら、世界一のストライカーになれるというのです。
当然「チームを捨てられない」「全国が控えている」と反論する少年も出てきますが、絵心はため息をつき、笑って一蹴します。
絵心「「絆を大事に」? 「仲間のために」?」「教えてやる… サッカーってのはな… 相手より多く点を取るスポーツだ」
絵心「点を取った人間(ヤツ)が一番偉いんだよ 仲良し絆ごっこしたいなら帰れ(ファック・オフ)」
絵心「…ん?本田?香川?ん――?」
絵心「そいつらってW杯優勝してなくない?」「じゃあカスでしょ 世界一になる話してんだけど? 俺」
ブルーロック 第1巻 第1話「夢」
そして世界の名だたるトップFWのエゴイスト発言を次々羅列し、続けるのです。
絵心「革命的なストライカーたちは皆!! 稀代の”エゴイスト”なんだ」「世界一のエゴイストでなければ 世界一のストライカーにはなれない」
絵心「サッカーとはおまえらストライカーのためにあるスポーツだ」「お前以外の人間はピッチ上の脇役だと思え」
ブルーロック 第1巻 第1話「夢」
スポーツマンシップとは真逆の価値観。それがこのブルーロックの世界では正しいというのです。
絵心が299名の人生をグチャグチャにした上に一人のストライカーが誕生することを宣言し、一話は幕を閉じます。
スポーツ作品に対するアンチテーゼ
この作品は、従来のスポーツ作品には描かれなかったもの、スルーされてきたもの、無いものにされ黙殺されてきたものが洗いざらいぶちまけられています。
勝利者は他の選手を蹴落とした上に立っているということ。
チームメイトですら、勝利のために利用すべきコマであるということ。
仲間意識が邪魔になることがあるということ。
もちろん、それはあくまでも一部であり全てではありません。これはあまりにも極論です。
しかし、それを嫌悪しあえて見ないふり、無いものとして扱いたがるメディアや大人たち、エンジョイ製ら多数派の圧力があるのも事実です。
もちろん、その傾向が悪だと断定するわけではありませんが、スポーツのネガティブな面を無理に美化し、正当化する場面を見たことが無い人はいないでしょう。
そして、都合の悪いものに蓋をしようとするその圧力に反発心や嫌悪感を感じたことがある人も多かったのではないでしょうか。
そうして無理に黙らされてきた人たちの一部に強く響く作品なのかもしれません…が、その何倍も多数派に嫌われてしまうのも仕方のない作品です。
(あえてでしょうが)あまりにも品のない煽り方ですからね。
サッカーの顔をしたデスゲーム
- 複数の人間が突然集められ
- 閉鎖空間で
- 他者を蹴落とし自分だけ助かるゲームを強いられる
見たことがある条件ですね。
そう、『バトルロイヤル』『デスゲーム』等と呼ばれるジャンルです。
この漫画はサッカーを利用したデスゲームをしているわけです。
そもそも原作者の金城宗幸の前作が『神さまの言うとおり』というまさにデスゲームを題材とした作品なので、作者の得意分野でスポーツを描いてみた、と言った方があっているのかもしれません。
デスゲームによって追いつめられるのと、スポーツによって追いつめられるのとでは意味が違うのを、あえて混ぜてしまったのですから。
「サッカーを冒涜された」と感じてしまっても無理の無いことでしょう。
美形ばかり
作者の作風なのかわざとなのか、主要人物のほとんどが美形(そのうち女性はアンリ一人だけ)です。
その反面、従来のスポーツマンシップやチームプレイを美徳とする人々の多くを、あまり見目良くは描いていないようです。
美形がいたとしても、追いつめられて本性を現すと顔をゆがめ口汚く罵ったりするので、あまりにも露骨に差をつけすぎと感じる人もいるようです。
(最も、エゴイストに目覚めていく側も人間離れした表情にはなるのですが…)
また、美形ばかりだと「女性ファンに媚びている」と感じてしまう人もいます。(ブルーロック内での衣装も全身ピッタリのボディスーツですし…)
逆に、紅一点のアンリをいちいち巨乳扱いするのも「女性を性的に搾取している」と感じてしまう人もいます。
キャラクターの美醜が極端すぎるのも、「気持ち悪い」と反感を買いやすい理由の一つかもしれません。
(でもそれを言い出すと、多くの女性向け漫画はそれこそ美男美女だらけなのですが…)
表情や表現がホラーめいている
原作者がデスゲームを得意とするからか、漫画担当のノ村優介の前作もグロ描写が激しいものだったからか、表情や表現もホラーめいた演出が多用されています。
#ブルーロック 2話
— ケーロック (@krockworks) October 19, 2022
「俺の中にかいぶつがいるから。」
人生で一度は本意気で言ってみたい、セリフランキングに入りました。
もしくは「かいぶつが言ったんだ。」
さて?いつ使う?
それにしても、どのキャラも顔芸がスゴイ。
蜂楽がカッコ可愛い。 pic.twitter.com/9KaKKNGEfa
スポーツ漫画は好きだけど、デスゲームやホラー、グロい表現は苦手、と言う人は多いので(真逆のジャンルですしね)、そういう人に「怖い」と戸惑われてしまうのは…むしろ狙っているでしょうね。
現実的でない
- 新入職員がトップに暴言を吐いて企画を通す(そもそも会議に同席できる)
- 未成年を監禁(詳細がわからない集まりに子どもを行かせる保護者ぇ・・・)
- (胸中はともかく)言われるまま従う思春期300人
- FWだけのサッカーチーム
等々、ブルーロックは「現実じゃ、そうはいかんやろ」と突っ込みたくなるところも多々あります。
スポーツ漫画は現実にあるスポーツを題材にするため、リアル思考の作品も多くありますが、中にはちょっと非現実を混ぜたり、ほとんどファンタジーなものだったりも混在しています。
そんな中でもブルーロックの現実・非現実のバランスはデスゲームに近いものであるためスポーツ漫画としては特殊で、戸惑いを隠せない人も多いようです。
ブルーロック2話。やっぱり現実と非現実がごちゃまぜになっているのが俺は気持ちが悪い。この作品をどういう感情で見ればいいかわからん。ランキングによって飯のグレード変わるの意味わからなくない?日本代表目指すなら食事は大事にするべきじゃないの。おかずがたくあんは流石に・・・。
— ぱつきん。 (@PK_patsu) October 15, 2022
よう実もいじヤバもブルーロックもそうだけど、「ツッコミどころだらけ、でも面白い」っていうリアリティレベルはかなり難しいと思ってて、そういう観点からこの3作は素直に凄いと思うし好きです。
— カリーパン@サブ (@gamekaripan) October 15, 2022
編集T屋
ブルーロックは好きだけど編集T屋が嫌い、受け付けない。と言う人も多いです。
編集T屋とは、ブルーロックの担当編集のことなのですが、彼が毎話最後にページの隅につけるコメントで、作品の内容と無関係な悪ノリをしていることが物議を醸しているようです。
どうやら「女性にモテる」と自称し、恋愛がらみの下品なコメント(本当に作品と関係が無い)を載せているのだとか。
「全話無料公開やってるブルーロックって面白い?」
— かにたま (@ChowhanRock1869) October 13, 2020
「面白いけど……」
「けど?ちょっとグロいのとかは平気だよw」
「グロじゃないっていうか……」
「??」
「各話最後の1ページだけは絶対に飛ばしてね」
「????」
「善意で言ってる」
「???????」
ブルーロックが「編集がカスで有名な作品」って言われるのめちゃくちゃ悔しいな、中身は外連味が効いてる王道で面白い作品なのに
— 🌈超ボルボックス🌈 (@vol__vol) August 12, 2021
T屋がまだあのページ最後のアオリをやめてねぇの本当に訳わからないし
ブルーロック読み始めた頃はマガポケで読んでるとマジでT屋のコメントが鬱陶し過ぎて単行本に切り替えたくらい無理だったんだけど担当としては優秀なのが1年見守る事でよく分かり今ではT屋の虜(不服)だから、アニメ化きっかけで読み始める人はT屋を理由にどうか見限らないで頂きたいです
— つくし (@n_ik_zzz) September 10, 2022
あまりに不評だったのか、それすら計算付くなのか、どんどんコメントが小さくなっているようですが…
ブルーロック T屋 pic.twitter.com/TSIUroNnS4
— ストレvsちくわ砲 (@Lr120YCBbph1RtX) September 29, 2021
どうやらこのT屋、以前から他作品でもこの独特のコメントを載せ続けていたようで、反感を買い続けているようです。
たまに「面白い」「あると和む」と言うコメントも見かけますが、スポーツ漫画、それも女性人気の高い作品でこういうコメントを載せ続けるのは、いくら編集としての技量が高くても大きなデメリットになってしまうのではないでしょうか。
実際に「T屋が嫌で読むのやめた」というコメントも多く見られました。
ブルーロックアニメ化で担当T屋が世間に広まってしまうのかな
— いいぬま (@iinuma_mot) August 15, 2021
神さまの言うとおりの時からそうだけど1担当がしゃしゃんないでほしい
煽りを小さくすれば良いわけじゃないんですよ… pic.twitter.com/frayzIDVSV
ブルーロック担当のT屋って人、自分が担当してる作品の世界観壊すような煽り文載せたり自己顕示欲丸出しのクレジット入れたりして何が楽しいんや……
— 🌺 (@flower_themovie) July 20, 2022
まとめ
ブルーロックが「怖い」「気持ち悪い」等と言われる理由は、サッカーでデスゲームをするという前代未聞の作品であることが大きな理由でした。
また、現代サッカーに対してかなりアンチな姿勢を取り、ケンカ腰にも見える煽りが散見されること、
それを強調するための描写等で不快感を与えたり「怖い」「気持ち悪い」と感じさせてしまうようです。
あと、作品評価では無いものの編集T屋のコメントへのヘイトも相当なものでした。
しかし、炎上ギリギリのこのやり方と、作画の高さや心理描写の上手さ、表情のインパクト等がハマり、強く引き付けられる人も少なくないことも事実。
あえて不快感を煽りながら、このブルーロックがどんなストライカーを生み出すのか、興味がそそられますね!