ポケモン新無印は2019年11月に始動したシリーズですが、
2022年にクライマックスに突入したというのに、ネット上では「つまらない」「ひどい」という声が止みません。
ポケモンと言えば25年以上続く人気コンテンツだというのに、なぜ新無印は「つまらない」「ひどい」と酷評されるのでしょうか。
ポケモン新無印つまらないしひどい?
まず、アニメがよく批判されている理由を紐解いていきます。
何がやりたいのかがわからない
今までのアニポケは、基本的にポケモンマスターになることをめざすサトシが仲間たちと旅をしながら、ポケモンたちとの出会い、成長を描き、リーグ戦などに挑戦していく姿を描いてきました。
新無印の前シリーズであるサン&ムーンで旅スタイルから一転、南国での学園生活を描き出して混乱を招きましたが、
サン&ムーンは島内に固定して話が展開していたため、様々な逸脱はありながらもまだまとまってはいたのです。
しかし、新無印では舞台が全地方と大ぶろしきを広げてしまったうえに、話の大筋もサトシとゴウの二本ある中にコハルメイン回もときおり混入するため、今までにない複雑さに。
地続きの話(サトシのポケモンワールドチャンピオンシップス、ゴウのプロジェクト・ミュウ、コハルのイーブイ進化形模索)と単発の話(リサーチフェロー等)が混在してます。
一話も見逃さずに見ている人はまだしも、いくつか話を見逃がした人やたまにしか見ない人には毎回やっていることが違って見えて本筋が迷子になってしまいがちです。
特に、新無印開始当初はリサーチフェロー主体の単発話でしばらく続いていたのに、途中から三人それぞれの本筋がパラパラと始まっていったので、
初期を何度か見て「今回は単発話でいくんだな」と思い込んでいた人もいつの間にか三本の本筋が進んでいることに面喰ったのではないでしょうか。
また、ポケモンはサン&ムーンまではゲームの販促として常に最新作と同じ地方を舞台に展開してきました。
新無印もソード・シールドと同時期に始まったため、ソード・シールドの舞台ガラル地方をメインに展開することを期待していたファンは、ガラル地方がほとんどそっちのけの状態に「ガラル地方のアニポケはやらないの!?」と落胆しているようです。
やりたいことが多すぎる
新無印はとにかく、やりたいことが多すぎます。
- 全地方舞台
- リサーチフェロー
- ポケモンワールドチャンピオンシップス(サトシの本筋)
- プロジェクト・ミュウ(ゴウの本筋)
- コハルイーブイの進化形模索(コハルの本筋)
- 過去キャラ絡み(「集大成」と銘打っているため、おそらく全シリーズを取り上げたい)
- 各ポケモンの描写
- ゲームの販促(ソード・シールド、ポケモンgo等)
これらを全て一作品に詰め込んでしまったのですから、わかりにくくなってしまうのは仕方ありません。
ただ、全編通してちゃんと見ていくと、むしろこれだけテーマが多く複雑なのにそれぞれの本筋をちゃんと進めていて、よくやっているなぁと感心してしまいます。
クロスオーバーやサイドストーリーも一つの時間軸で描いているようなスタイルなので、一つのアニメで様々なテイストが楽しめるパフェみたいなものだと割り切って見てみるといいのかもしれません。
実際、ポケモンの生態や多様性を多く取り上げるアニポケ新無印は「今までで一番好き」と言う人も多くいます。
ダンデが原作ゲームと違う
原作ゲームでは人気のあるダンデがアニポケでは炎上の火種となることも多々あります。
そもそも、ダンデの立ち位置が違うようです。
原作ダンデは、主人公のライバル・ホップの兄。
主人公とホップに御三家を渡す役目を担い、主人公とホップの成長を見守り、クライマックスに立ちはだかる大きな壁でもあります。
主人公とホップのトレーナーとしてのスタートからゴールまでをけん引する役目なのです。
『無敵のダンデ』と言う通称が示す通り、10歳でリーグチャンピオンとなって以降無敗。
実際に対戦しても他トレーナーに比べ圧倒的な強さを誇り、攻略は困難なようです。
しかし、アニポケのダンデは主人公サトシたちとは当初無関係。
無差別ダイマックス事件でサトシたちと出会い、サトシの強い要望で一戦交えて以降サトシに一目おき、サトシにダイマックスバンドを譲ってくれてからはサトシの目標に。
その後も何度か遭遇し、サトシとウマが合うのかバトルの練習にと遠出したりして交遊を深め、ついにはマスターズエイトのトップ争いで対峙することになります。
しかし…原作ゲームと比べると、主人公との関係性がどうしても見劣りしますし、
『無敵』である描写が難しいらしく、「ただのごり押しに見える」という批判をよく目にします。
そして、ごり押し圧勝に見えるからか、「ヒヤリとした」等と言ったダンデが対戦相手を称えるセリフも「皮肉に聞こえる」「煽っているのか」と逆に神経を逆なでしてしまっているようです。
また、原作では主人公のライバルである弟のホップがマスターズエイト編でようやく登場、サトシとは一戦交えただけであとは観客席で応援する側に回ってしまっているのも原作ファンに不満を抱かせることになってしまいました。
原作ゲームとの解釈の齟齬
その関係性を変えたからか、ダンデと言うキャラクターの解釈もアニポケではあえて少しずらしたのでしょう。
アニメ内で何度となく、ダンデとサトシの類似性が指摘されています。
ポケモンマスターを目指すサトシにとって、最も理想のポケモンマスターに近い立ち位置がダンデ。
そして、サトシとダンデの性格を寄せることで、ダンデを『サトシの将来の姿』のモデルに仕立て、その理想を追い越し成長しようとするサトシの物語を描きたいのだろうと考えられます。
しかし、原作ダンデを知る人からすると、原作ゲームの主人公とダンデの関係性とは少しニュアンスの違うサトシとの関係性、そしてサトシに寄せられたダンデのキャラクター性に違和感を感じるのも無理の無いことだろうと思います。
原作ダンデを好いているからこそ、アニポケダンデは受け付けない、と言う人も多いのでしょうし、それだけ原作ダンデが愛されているということでもあるのでしょう。
それに…結構重要なの、ホップの扱いだと思うのですよね。
せめてホップをもっと早く登場させ、ホップとサトシの間に競い合うような間柄ができていたら、ダンデの立ち回りもゲームに近いものに変わって、ここまでの反発はまぬがれたのかもしれません。
ゴウのキャラクター性が不評
ゴウにあげられる問題点は主に以下の3点。
- ポケモンを乱獲し、進化したら出番が減るという愛の無さ
- 初心者からの成長描写が尺をとる
- 初心者なのに簡単にポケモンをゲットするという矛盾
まず不評を買うのが、「全てのポケモンをゲットする」と言う目標通りに片っ端からポケモンをゲットしていく姿勢です。
「まるでポケモンハンター(密猟者)じゃないか」と言われることもしばしば。
そして、乱獲したポケモンの一部だけを連れ歩き進化させ、進化しきったら出番が減るところに「ポケモンに対する愛が無い」との声も。
また、経験豊富なサトシとは逆にトレーナーとして初心者からのスタートなので、様々な紆余曲折を経て成長していく姿を描かれているのですが―――ただでさえやることの多すぎる新無印ではそれが尺を取りすぎでまどろっこしく感じてしまう人も。
それに、初心者という設定なのにストーリーに大きく絡まないポケモンは割とポンポンゲットしていることに矛盾を感じる人もいます。
せめて彼が初心者ではなく熟練者であれば、これらの問題も大半は蹴りがつくのですが…
乱獲ではなく採集
物語のスタートでリサーチフェロー、つまりポケモンの研究のためにポケモンを採集するという大義名分がすでに作られているのです。
「全てのポケモンをゲットする」と言うのは彼自身の夢であり、リサーチフェローとしての職務でもあるのです。
進化後も大事にしている
進化したら(成長描写が激減するため)出番の頻度自体は減りますが、全く無くなってはいません。
ポケモンは販促アニメなので、多種多様なポケモンを登場させ、複数のポケモンを進化させなければいけないのですから、進化しきって伸びしろの減ったポケモンの出番が減るのは仕方がありません。
折に触れアフターストーリー的に進化後のポケモンが出てきていますし、オフの時は毎日サトシとゲットしたポケモンたちの世話をしている姿も描かれています。
ゲット後のポケモンたちの話も何度か描かれましたし、サトシやゴウたちと良好な関係を築けている描写は常にあります。
サトシだってメインパーティ以外のポケモンは描写が減るのに、ゴウだけ批判されるのはどうしてなのでしょうか。
『鳴かぬなら、バトルしようぜ!ホトトギス』って感じのサトシに対し、『鳴かぬなら、鳴かなくてもいいぜ、ホトトギス』って感じのゴウは、地味ではありますが繊細で物事を深くとらえ、バトルの如何に捕らわれず常に相手に寄り添い、よりよい道を模索する根気強さがあります。
サトシとは全く別方向の彼のやさしさは、ポケモンたちの新たな可能性を見せてくれています。
もちろん、まだトレーナーとしても人間としても未熟な面も多々ありますが、10歳という年齢を考えたらむしろ出来すぎなくらいです(サトシもですが)。
ワンタッチポケモンゲット
簡単にポケモンをゲットしすぎ、という指摘は、彼自身がアプリポケモンGOから着想を得たキャラクターだからでしょう。
とはいえ、それがアニメの中で浮いて見える、というのは私もわかります。
アニポケはずっと「バトルして弱らせた or 相互理解を得たポケモンをゲット」という体できていたので、その中でゴウだけその手順をすっ飛ばしているのは印象が良くないのも頷けます。
しかし、だからと言って彼を熟練者にしてしまったら、サトシと被ってしまい安定感が出すぎてしまうんですよね。
モンスターボールの投球技術が高いとかポケモンの急所を狙うのが上手いなどの「ゲットポイントを突きやすい特性」をゴウに持たせたらよかったのではないか、というコメントを見かけ、なるほどとうならされました。
あざとい
過去キャラを持ちあげすぎてあざとい。
人気ポケモンばかり出番が多くてあざとい。
コハルをかわいく描きすぎ、ゴウが女性人気狙いすぎ、っていうか女性人気気にした展開多すぎ、いやいや古参ファンに媚びを売りすぎ、等々…
確かに、いろんな層を意識したキャラクター、脚本、演出が目立つので、それが鼻につく人も多いのでしょう。
気難しいファンが多い
それだけ多方面に人気が高すぎる証拠でもあります。
後ほど取り上げますが、過去作ファンは過去作をどう取り上げても誰かのファンが炎上させますし、
元来キッズアニメなので子ども受けを忘れてはいけませんし、
最近では女性だけでなく乳幼児向けの商品展開まで厚くなっています。
常に全方位からの期待を一身に背負ってしまっているので、様々なニーズにこたえ続けなければいけないのです。
元々販促アニメですし、アニメは人気商売なので持たされたイメージを体現しなければいけません。
Webアニメや番外編等でもう少しニーズを分散できるといいんですけどねぇ。
過去キャラの扱いが雑
新無印は「集大成」というだけあり、過去キャラ回がとても多いのです。
しかし、過去キャラはあくまでも過去のキャラ。メインパーティに入れるのも難しい(そんなことをしたら、誰を入れても他のファンが炎上するでしょう)
というわけで、基本的に単発の出番となり、「取り上げ方が雑」と言われてしまうのです。
できるだけ過去キャラを活躍させている
しかし、過去キャラが膨大過ぎるためどうしてもほとんどの過去キャラの出番が少しずつになってしまうのは仕方なく、
それでも一部のキャラは複数回出番があったり、メインストーリーに絡んで来たり、
マスターズエイトはサトシとダンデ以外は全て過去キャラで固められていたりします。
誰かを優遇すればどうしても他にしわ寄せがきてしまうもの。
新無印はむしろ、今までになく過去キャラを積極的に取り入れているように見えます。
ただ、ポケモン学者になるために勉強中のはずのシゲルがプロジェクト・ミュウのチェイサーを目指していたりと、メインストーリーに絡ませるためとはいえ本来の設定を変えてしまうことに疑問を抱く人も多いようです。
新無印のサトシは過去シリーズ全て踏襲したサトシであることはほぼ確定なので、それなのに過去キャラの設定が変わっているのは確かに矛盾しますよね。
ポケモン新無印いつまで続く?
過去のポケモンシリーズは、原作となるゲーム版ポケモンの新しいシリーズ発売に合わせてアニメのシリーズも切り替えていました。
2022年11月18日(金)に新しいポケットモンスタースカーレット・バイオレットが発売されることはすでに告知されているので、それに合わせるのなら新無印はその前の週11月11日(金)に最終回を迎えなければいけないのですが…
まさかW主人公の片割れの話を一話やそこらで解決するとは思えませんし、マスターズエイト編が長引いたためコハルイーブイの話も最近置いてけぼりです。
もしかしたら、休止や総集編が多すぎて新ゲーム発売に間に合わなくなってしまったのかもしれませんね…
となると、次の候補は冬アニメに切り替わるタイミングです。
12月1日から順次冬アニメが始まりますが、金曜日放送の冬アニメの初回放送日は12月10日のようです。
そこに間に合わせるとしたら、その前週12月2日(金)辺りがポケモン新無印最終回として妥当ではないでしょうか。
ただ、そうなるとゴウの話を2話以内でまとめなければいけないことになるので…話数が足りているのだろうか、という不安はぬぐいきれません。
複雑にはなりますが、新無印は複数の話が同時進行という形も多かったので、もしかしたらマスターズエイト終盤とプロジェクトミュウが絡み合うことになるのかもしれませんね。
まとめ
もしかしたらアニポケの歴史で一番物議をかもしたかもしれない新無印も、11月がヤマです。
ダンデ戦の決着はどうなるのか!?
ゴウとシゲルはチェイサーになれるのか!?
コハルのイーブイは進化するのか!?
そもそも、ちゃんと最終回まで描けるのか!?
新無印の最終的な評価も、この最終話までの展開にかかっていますね!