2020年秋アニメの超目玉作と言えば「ひぐらしのなく頃に」です。2006年に放送されたアニメ(以下、旧作)は、社会現象を引き起こしました。
ふたたび「ひぐらし」が「ひぐらしのなく頃に業」として、新作リメイクされて旧作を見返す方も多いと多かったと思います。
しかし、「ひぐらし」は非常に膨大な量の設定とストーリーから成立しており、新規視聴者にとっては少し敷居が高いかもしれません。
「ひぐらしのなく頃に」はジャンルで言えば「ミステリー」とされますが、「コミュニケーションの大切さを謳ったドラマ」と理解すべきです。
本作は公開当時、批判の嵐にさらされました。
というのは本作の謳い文句が「正答率1パーセント」のミステリのように喧伝されたからです。
しかし、ミステリの禁じ手を使った本作はミステリ愛好家から徹底的にたたかれました。
ですからジャンルとしては「人間ドラマ」と考えるべきです。
また本作は殺人描写がとても残酷なので「グロテスクなホラー」ないし「青少年の健全な育成にとって害のある作品」とみる向きもあります。
たしかに残酷な描写はありますが、本質は煽情的なホラーではなく一部の描写だけを見て決めつけるのはどうかと思います。
さて本作が分かりにくいのは「主人公の少年が死んだのにどうして次の話でまた蘇っているのかが分からない」という点だと思います。
そのため各ストーリーは「出題編」と「回答編」に別れており、各ストーリーをペアにすることで視聴者に「こうすれば惨劇は回避できたのか」と理解させる仕組みになっています。
つまり、視聴者参加型のアニメの走りといってよい作品です。
それでは旧作のあらすじを紹介していきたいと思います。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ鬼隠し編
「出題編」の1本目にして、雛見沢村での怪事件の紹介ストーリーです。「ひぐらしのなく頃に」と言えば、この編のイメージが強い人も多いかと思います。
内容は、昭和58年6月、雛見沢村に圭一という中学2年生の男の子が東京から転校してきます。
彼は学級委員長で、「部活」のリーダーである魅音や、心優しいレナ、おませな小学生の沙都子、巫女の梨花と仲良くなり、楽しい学校生活を送ります。
鬼隠し
雛見沢村には「鬼隠し」という失踪事件が起きることを知った圭一は彼女らにその事件のことを尋ねますが、口を固く閉ざして教えてはくれません。
彼女らへの疑念と、事件への恐怖から圭一は疑心暗鬼にとらわれ、魅音とレナを金属バットで撲殺します。
圭一は警察に電話し、「どうか事件の謎を解いてください」と言い残し、自分ののどをかきむしって死んでしまいます。
このストーリーは「疑心暗鬼になって惨劇を起こすことをどのように回避すべきか」というテーマが出題されます。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ綿流し編
「鬼隠し」は村の古手神社の祭具殿に侵入した者への神罰とされるが、実は園崎魅音による殺害ではないかとレナと圭一は疑います。
魅音の双子の妹である詩音の協力により事件の真相に近づき、魅音は圭一に自分が殺害したと自供、そのまま逃亡するも圭一のもとへ現れて、圭一を殺害します。
このストーリーは魅音と詩音の「双子のトリック」が使われ、「村ぐるみの陰謀」の謎がテーマとして出題されます。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ祟殺し編
圭一は家族のいない沙都子の兄変わりとなって親身に接します。
沙都子は養親の虐待に会っており、義憤にかられた圭一が養父を殺害するも、その死体は行方が分からなくなり、梨花も誰かにより殺害され、村人全員がガス災害により全滅します。
このストーリーは本作の要である「惨劇の回避」が実は不可能であり、誰かの陰謀で惨劇が発生することを示唆し、陰謀の主はだれなのかがテーマとして出題されます。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ目明し編
「解答編」で「綿流し編」の謎がここで明かされます。
詩音と悟史のラブストーリー
詩音は悟史に恋していたが、悟史の両親が園崎家に逆らったので悟史と沙都子は村八分の目に合っています。
なんとか詩音は悟史を助けたいと思いますが、園崎家は許してくれません。
村八分と養親の虐待により沙都子は情緒不安定になり、悟史も沙都子によるストレスで心が病んでいます。
ついに悟史は養父を殺害し、そのまま失踪します。
詩音の狂気
詩音は悟史の苦しみは沙都子と園崎家の長である祖母のお魎のせいだと思い込み、2人を殺害します。
詩音は自分の罪を魅音に着せるため魅音と入れ替わり、魅音を殺害し、自分は魅音として圭一に自分が殺害の犯人だと自供して逃亡します。
しかし魅音の幻に苛まれた詩音は、魅音の想い人である圭一を殺害することでふっきろうとしますが、圭一を殺害後に悟史の言葉を思い出し我に返ります。
後悔と失意の元、詩音は自殺します。
本作は実はループもの
このストーリーから惨劇回避のために何が必要だったか明かされていきます。まず園崎家は「鬼隠し」には一切関わっていないことが明かされます。
つまりこの失踪事件は村ぐるみの謎の陰謀ではなかったのです。しかしそれを信じることができない詩音はお魎と魅音、沙都子らを殺害します。
ここでも本作の問題の本質である「コミュニケーションの大切さ」が示唆されます。
とくに詩音が我に返った時に「今度はきっとうまくやれるよ」という言葉で初めて本作がループものであることが明かされました。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ罪滅ぼし編
「解答編」で、ここでは「鬼隠し編」への謎が明かされます。
レナの頑張り物語
ついに終息の時を迎える#higurashi #bs11#ひぐらしのなく頃に pic.twitter.com/s7Pr78fhYT
— ✯かまっち✯ (@z_e_n_t) September 28, 2020
レナは、父と二人暮らしでしたがリナという女性と再婚しようとします。
リナは沙都子のおじであり保護者であるヤクザの鉄平とつるんで財産目当てで近づいた女でした。それを知ったレナはリナと鉄平を殺害しますが、その事実を部活メンバーが知ることになります。
レナの凶行は仕方がないと圭一らはリナらの死体を隠して事件をなかったことにします。
鬼隠しの謎
普段の生活に戻ったレナに診療所の看護師三四が「鬼隠し」の正体についていっしょに調べないかともちかけます。
そんな時、リナらの死体の行方が分からなくなり、レナは魅音が自分を裏切ったんだと勘違いします。
レナは「鬼隠し」は園崎家が寄生虫により村人を支配していると思い、その寄生虫に感染している自分が園崎家に殺されないようにするため、学校を占拠します。
圭一らを人質にとるも、部活メンバーの協力によりレナを正気に返すことに成功、はじめて惨劇の回避に成功します。
しかし学校占拠事件が終わったその日に雛見沢村はガス災害により全滅するのでした。
罪は「滅ぼす」のではなく、「犯さないこと」
本作では圭一の過去が明かされ、またあり得ないはずの鬼隠し編の世界線を圭一が思い出すという奇跡が生まれます。そこで圭一は魅音とレナの殺害を反省し、惨劇を起こさずに事件を解決することができました。
しかし題名のような「罪滅ぼし」ではなく、「罪自体を犯さないこと」こそが本作のループ脱出にとって必要であることが示唆されます。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ真の解答編
以上までが「ひぐらしのなく頃に」のアニメ第一期のあらすじです。
次に「ひぐらしのなく頃に 解」(第二期)のあらすじを紹介します。
アニメ第二期こそが「ひぐらし」の真の解答編なのです。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ「サイカイ」および「厄醒し編」
導入部と、沙都子の大活躍というアニメ独自のストーリーです。
「サイカイ」
ガス災害による村人全滅から20数年後、雛見沢村に警視庁から赤坂という刑事がレナに会いに来ました。
赤坂はかつて梨花により妻の窮地を救われ、どうして雛見沢村が全滅し、梨花が死んだのかの謎を解明しに来ました。
レナの話から雛見沢村の寄生虫の事実を知り、雛見沢村の謎は深まっていきます。
厄醒まし編
話は昭和58年6月、沙都子は元気に学校に通っていましたが梨花の様子に不審をいだきます。
なにかを諦めた梨花を助けたいと思った沙都子は部活メンバーに相談したり、独自に調査をはじめますが誰も気のせいだといってまともにとりあってくれません。
診療所の医師の入江が自殺したり不審な事件が続く中、梨花にも魔の手が及びます。
村の外へ脱出して助けを求めようとする沙都子に追手が迫り、川へ飛び込んで窮地を逃れるも意識不明となる沙都子。
その頃、雛見沢村はガス災害で全滅していました。
沙都子の病室に刑事の大石が訪れて村の謎を沙都子に問いただしますが、沙都子は急死します。
アニメのオリジナルストーリー
沙都子の頑張り物語ともいえるアニメのオリジナルストーリーです。
ストーリーの本筋からは離れる沙都子をメインに据えることで、彼女も部活メンバーの重要な一員なんだとクローズアップしたストーリーで、シリアスな本編の箸休め的良作です。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ皆殺し編
本作の主人公は梨花だったことが明示されるストーリーで、本作の本当の解決のカギとなるものです。
「ひぐらし」はSFだった!
彼女には守護神ともいうべき羽入という少女がいて、彼女が梨花の死を防ぐため何度も同じ時間をループさせていたのです。
しかし羽入のループ能力も力が尽きてあと1回しか梨花をループさせることができません。
諦めかけていた梨花に今までの時間軸とは異なる現象が多発します。
それとともに部活メンバーたちがそれぞれ、目明し編や罪滅ぼし編の記憶を思い起こします。
惨劇の完全回避に成功!
そして沙都子のおじの鉄平の殺害は、部活メンバーと村人の協力により回避でき、沙都子の村八分はなくなりました。
希望を持った梨花はループの事実を部活メンバーに明かし、生き延びることを画策します。
しかし彼らは三四により皆殺しにされてしまいます。
雛見沢のガス災害が三四の野望により起こされた人為的な事件であることを知った梨花は殺された後、部活メンバーたちに全力を尽くせたから未練はないとあの世で告げます。
しかしレナはそれは違うといい、もう1人の仲間が参加していたらこのループを脱出できると言い切ります。
その仲間とは羽入のことで、彼女とともに最後のループへと部活メンバーは挑むことになります。
ミステリでもSFでもない、視聴者参加型アニメ!
同時に羽入を視聴者に見立てた演出ともいえます。
ここまできて初めて最後の解決へラストスパートに向かいます。
「ひぐらしのなく頃に」ネタバレ祭囃し編
この物語は、三四が野望をもった理由、部活メンバーが雛見沢村に集結したいきさつ、そして三四との最後の対決というストーリーになっています。
三四の生い立ち
三四は孤児院で虐待にあっていたところを養父の一二三に助けてもらいました。
一二三は雛見沢症候群という寄生虫の研究をしていましたが、盲説として学会を追放されました。
三四は養父の名誉回復を願い、雛見沢症候群の実在を証明するため、諜報機関山狗の手を借りて村人を皆殺しにしていたのでした。
なぜ部活メンバーが雛見沢村に集まったのか
部活メンバーたちにも様々な葛藤があり、圭一は東京で起こした傷害事件、レナも両親の離婚の罪の意識、悟史と沙都子は養親の虐待、魅音は園崎家の隠蔽体質といった問題を抱えつつ雛見沢村での生活を送っていました。
それを俯瞰で見る梨花と羽入、彼らの人生のかけらを紡ぎ合わせてループの脱出を試みます。
物語はクライマックスへ
この時間軸では羽入も転校生として部活メンバーに加わります。
メンバーは梨花と羽入からいままでの時間軸の話を聞き、三四の野望を砕くため山狗との戦いに挑みます。山狗を撃退したメンバー、残った三四に羽入は「人の犯した罪は神である私が引き受けよう」といいます。
それにより三四の野望は完全に潰え、部活メンバーは綿流しのお祭りに参加、舞台では梨花と羽入が楽しそうに奉納の舞を演じます。
敗者のいない物語
時間は遡って三四の子供時代へ。
三四の目の前に梨花によく似た大人の女性が現れます。彼女は三四に忠告し、それに従った三四の両親は死なずに済み、彼女は幸せな子供時代を過ごしました。
奇跡のカーテンコール
本作の究極のテーマは「惨劇をおこさないこと」、そして「敗者のいない世界」です。
惨劇が起きれば被害者はもちろん加害者も不幸になり、「負の連鎖」の無限ループが生まれます。
だからどうすれば惨劇を回避でき、敗者がいない世界が生まれるにはどうすればいいのかを視聴者に問いかけるのが本作のテーマだったのです。
そして奇跡は起きるのを待つのではなく、人の手で起こすことが出来ると訴えかけた重厚なドラマである本作は最高の結末を迎えることが出来ました。
ひぐらしのなく頃にネタバレ解説全編あらすじ
非常に膨大な量のストーリーを駆け足で紹介しました。
以上の概要と流れを知っておけば初見の方でも迷わずにアニメを視聴できると思います。
新旧合わせると「ひぐらしのなく頃に」シリーズは、かなり長編アニメになっております。