ダイの大冒険こと『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』は、少年ジャンプに連載され、1989年~1996年と7年間連載されました。
1991年に一度アニメ化したものの物語の序盤で終わってしまい、続編を望まれながらもなかなか実現しませんでしたが、
19年後の2020年に再び物語全編をアニメ化し、親子ともに楽しんだ方も多いのではないでしょうか。
ダイの大冒険が長年愛され、世代を超えても評価が高い理由の一つに、適役一人ひとりにもそれぞれの哲学があり、そのキャラクターなりの筋が通っていることにあります。
そんな敵陣営の名言だけを集めてランキングにしてみました!
第13位 最後の最後まで絶望しない強い心こそが アバンの使徒の最大の武器ではなかったのかっ!!
キルバーンのトラップ『ダイヤの9』に囚われたハドラー、ダイ、ポップの3人。
しかし、ダイヤの9の業火の前に、死闘の末あとは死を待つばかりのハドラーと、HPもMPもほとんど残っていない二人は成す術がありません。
焦り諦めかける二人を、ハドラーは叱咤しました。
・・・オレが生命を賭けてまで倒そうとしたアバンの使徒!
ダイの大冒険 28巻
それは不屈の魂を持った希望の戦士だっ!
最後の最後まで絶望しない強い心こそが
アバンの使徒の最大の武器ではなかったのかっ!!
まさかこの言葉を口にするのが、味方でも誰でもない、アバンを殺したハドラー自身だとは。
物語の序盤で、立ちはだかる者を全て邪魔者扱いし、弱い者を見下し、強い者をやっかみ嫉妬していた小物満載だった魔王ハドラーは、もういません。
ここにいるのは、宿敵であるアバンとアバンの使徒たちに素直に憧れ、好敵手としてふさわしい一人の漢だけです。
師匠を手にかけた憎き敵のはずが、弟子たちを信じ叱咤するなんて、こんな展開熱すぎますね!
第12位 …命令する……死ね
大魔王の側近ミストバーンが、世界会議のため集まった各地の要人たちの前に鬼岩城と共に現れ、こう述べます。
・・・パプニカの王女レオナよ・・・
ダイの大冒険 15巻
・・・そして世界の指導者たちよ・・・
我は偉大なる大魔王バーンさまの配下・・・
魔影軍団長ミストバーンである…!!
・・・命令する・・・・・・死ね
おまえたちには一片の存在価値もない
大魔王バーンさまの大望の花を汚す害虫だ・・・
・・・降伏すら許さん・・・死ね!
この国ごと地上から消えよ!
バーン様のお耳に届くように精一杯大きな最期の叫びをあげてな・・・!!
まさか登場時に、自己紹介の次のセリフが「命令する 死ね」
その後も相手を一方的に否定して「降伏すら許さん 死ね」
もはや清々しいほどの容赦のなさ。
喋らない顔見せないと陰キャのように見せておいて、口を開くと徹底的に容赦がない。ミストバーンの恐ろしさを痛感させるセリフです。
しかし、結末を知った今考えると、ミストバーンがこれだけ容赦ない態度に出るのも、大魔王バーンの目的が地表丸ごと消滅させて地下の国に太陽を与えることだからだ、ということにも気づきます。
第11位 オレをなめるなァッ!!! 大魔王ォッ!!!!
ダイたちに敗北したハドラーを襲ったのは、バーンがハドラーの心臓部に仕掛けた爆弾『黒の結晶』による爆発でした。
しかしその後、ダイたちを追い詰めるバーンの前に立ちはだかったのは、爆発したはずのハドラー。
・・・あなたに2度殺されるのは
ダイの大冒険 23巻
ご免こうむる!!
どうしても私の生命を
奪うというなら・・・・・・
この場であなたを倒すのみだっ!!
オレをなめるなァッ!!!
大魔王ォッ!!!!
命を賭した漢の勝負を穢され、死ぬはずだったハドラーは今一度奮起します。
死にかけの魔王 VS 勇者を追い詰める大魔王。
かつての覇者 VS 現在の覇者。
この展開に熱くならない少年はいないでしょう!
第10位 私が魔王軍最強なのだ!!!
圧倒的な強さを誇る大魔王バーンを下し勝利に酔いしれる間もなく、ダイたちの前にはミストバーンが立ちはだかります。
バーン様は偉大なるお方・・・
ダイの大冒険 33巻
その叡智と魔法力においては他に並ぶ者はない
しかし 事 肉体の強さにおいては今の私の方が上だ!!
・・・・・・そう・・・
私はバーン様より強い・・・!!
私が魔王軍最強なのだ!!!
まさかのラスボスよりラスボスの側近の方が強い宣言…!!!
これを、だれよりもバーンを心酔していた無二の側近であるミストバーンが、下剋上ではなく事実として言い放つのですから、重みが違います。
第9位 大魔王からは逃げられない…!!!
大魔王バーンと対峙したものの、力量さに撤退を決断するポップでしたが、大魔宮には結界が張られており、ルーラが効きません。
バーンは勝ち誇ってこう言うのです。
…知らなかったのか…?
ダイの大冒険 22巻
大魔王からは逃げられない…!!!
ああっ!!! ドラクエだ!!!!
痛感した瞬間でした。
ドラクエではボス戦からは逃げられないんですよね。
ちょっと言い回しを間違えるとメタ発言になりそうなのを、バーンの圧倒的な強さと用意周到さによりドラマティックな言葉に見せるバランスが素晴らしいです。
第8位 …お前が倒すはずだった相手は… とりあえずオレが全部片づけといてやるぜっ…!!!
ここにもまた、かっこいい宿敵関係が芽生えます。
ハドラーの意思を継ぐハドラー親衛騎団の一人・ヒムと、アバンの一番弟子・ヒュンケルです。
最初はハドラーの指名により対峙した二人でしたが、やがてヒムにとってヒュンケルは、ハドラーにとってのアバン(の使徒)と同じように『敵であり目標』となっていきました。
二人の一騎打ちの勝敗はヒムの敗北として終わりますが、この二人もまた戦いが終わって満身創痍のところをマキシマムのオリハルコン軍団に襲われます。
すんでのところでオリハルコン軍団を壊滅させますが、ヒュンケルにはもう立ち上がる力も残されていませんでした。
駆けつけたクロコダインに「肩を貸して欲しい」と頼むヒュンケル。
しかし、クロコダインを制してヒムがその肩を貸します。
………肩なら…
ダイの大冒険 31巻
オレが貸す…!!
いつの日かおまえの傷が感知して再び決着をつけるその日まで…
おまえを死なせるわけにはいかねえからな……!!
…お前が倒すはずだった相手は…
とりあえずオレが全部片づけといてやるぜっ…!!!
敗北したヒムに、「お前の生命ではなく死を奪う」と生きることを命じたばかりか、襲い来るオリハルコンからヒムを守って重傷を負ったヒュンケル。
勝負でも漢としても「敵わない」と感じたのでしょう。ヒムはヒュンケルの担うべき戦いを全て引き受けることでヒュンケルの思いに報いる覚悟を決めたのです。
第7位 それができる者は皆 尊敬に値した!! ……うらやましかった……
ミストバーンは敵には容赦がないのですが、その反面、敵味方関係なく自分が認めた者には賛辞を与えることも躊躇いません。
バーンを崇拝し、自らの意思でかしづく彼が、何故バーンの意に反した行動をとるハドラーやバラン、敵であるポップまでも評価するのか疑問でしたが、
彼の正体とともにその理由が吐露されます。
ミストバーンは肉体を持たない影だけの存在(ミスト)で、他の肉体に憑依することができます。
全てを手に入れながらも老いからだけは逃れられないバーンは、ミストのこの能力で自らの若いままの肉体をミストに預け、保存していたのです。
そのため、ミストがバーンの身体に乗り移った状態であることから「ミストバーン」と呼ばせていました。
そんな彼がハドラーたちに憧れた理由は、他でもありません。
他人の身体を奪えば簡単に強くなれる私にはできない事・・・
ダイの大冒険 34巻
自らを鍛え強くなる事・・・!
それができる者は皆 尊敬に値した!!
・・・・・・うらやましかった・・・・・・
自らを奢らず努力を惜しまぬ者、そうして努力を自分の力にできる者は、ミストに純粋な憧れを抱かせていたのでした。
慈悲も容赦もないミストが唯一心動かされるもの。
そこには「決して自分の手に入らないもの」に焦がれる切なさもありますが、それに対し嫉妬するのではなく素直に尊敬し「うらやましかった」と言えるのもまた、一つの勇気でしょう。
第6位 我が全身全霊ッ!!! 敗れたりっ!!!!
ダイとハドラーの最後の決戦は、ハドラーの敗北で幕を閉じました。
ダイのギガストラッシュを受け倒れる瞬間、ハドラーは言い放ちます。
我が全身全霊ッ!!!
ダイの大冒険 27巻
敗れたりっ!!!!
見事、としか言えません。
アバンがまだ幼かったヒュンケルに真の戦士像を説く言葉がありますが、
力のすべてを出しきっての敗北ならばなんら恥じる事はない
ダイの大冒険 30巻
(中略)
最後の最後まで己の力を出しつくして戦いぬく…!
それが・・・真の戦士です!!!
ハドラーはまさに、その真の戦士と成ったことが伺える、素晴らしい敗北ですね。
第5位 …神よッ!!!!
こんなに熱い神頼みを、私は他に知りません。
ハドラーの助力によりダイヤの9から脱出できたのは、ダイだけでした。
敵であるハドラーに、一人の漢として心揺さぶられてしまったポップは、ほんの一瞬の脱出の瞬間、ハドラーを見捨てることを躊躇ってしまったのです。
どうせ死を待つだけの敵を想い、踏みとどまってしまったポップ。
そんな情を向けられたことは、ハドラーにとって初めてのことだったのかもしれません。
・・・神よっ!!人間の神よっ!!!
ダイの大冒険 28巻
魔族のオレが・・・はじめて 祈る・・・!!!
もし本当に・・・おまえに
人命を司る力があるのなら こいつをっ・・・!!
この素晴らしい男だけは生かしてくれっ!!!
オレのような悪魔のためにこいつを死なせないでくれっ!!!
・・・神よッ!!!!
せめてもとポップに覆いかぶさり庇いながら、ハドラーはただただ一心に祈ります。
かつて、死に直面した時にダイとポップを庇ったアバンをあざ笑ったハドラーが、その身を挺してポップを庇い助けようとするのでした。
第4位 オレの死に場所を… この男の腕の中にしてくれるとは…な…!
ハドラーとの戦いでメガンテを使い死んだと思われていたアバンが、まさかの登場。
ダイヤの9の炎を消し、ハドラーとポップを救出します。
ポップが助かったことに胸をなでおろしたハドラーに、とうとう最後の時が訪れました。
それを看取ったのは、ハドラーの宿敵であり、死してなお超えられない壁としてハドラーを追い詰め、いつしか大きく成長させてくれた存在。
アバンでした。
おまえたち人間の神というのも・・・
ダイの大冒険 28巻
中々粋なやつのようだぞ・・・
・・・オレの生命とひきかえに・・・
・・・オレが かつて奪った
大切な者を・・・
おまえたちに返してくれた・・・・・・
そのうえ・・・・・・・・・
オレの死に場所を・・・
この男の腕の中にしてくれるとは・・・な・・・!
ひょっとすると、アバンの存在に一番人生を変えられたのは、ハドラーだったのかもしれません。
第3位 …ダイ… とてもいい名前だ
ダイ&バラン VS ハドラー戦のさなか、バランを庇って重傷を負ったダイを、今度はバランが庇おうとします。
「お互いに庇い合うのではなく、ちゃんと協力しよう」と訴えるダイに、バランはこう返しました。
・・・子供がどう願っても
ダイの大冒険 21巻
親とは常にこうしてしまうものなのだ
おまえも大人になれば
いつかきっと判る・・・
・・・ダイ・・・
とてもいい名前だ
だが 私とソアラがつけた名前も
心の片隅で憶えておいてくれ
かつては、ようやく再会した息子ダイを記憶喪失にさせて、自分たちが名付けた「ディーノ」と言う名前を押し付け、自分の元に引き込もうとしたバラン。
愛する息子を無理やり奪われ、探し続けてきたバランからすれば、「ようやく親子をやり直せる」となりふり構っていられなかったのかもしれませんが、ダイからすれば理不尽な暴力でしかありませんでした。
そんなバランが、ダイと接するうちにその背景に在る仲間たち、彼の土台を作ってくれた育ての親と周りの環境にまで思いを馳せ、「とてもいい名前だ」と嚙み締めたのです。
息子が育ての親の名付けた『ダイ』と言う名前を選び、その名前で生きていくことを肯定することは、
悲惨な思いを込めて心の中で呼び続けただろう『ディーノ』という名前を選んでもらうことを諦め、譲ったということです。
バランにとっては苦しい選択である反面、それだけ素晴らしい環境に恵まれ立派に育った息子が誇らしく、誇らしいからこそ育ての親への尊敬と感謝があふれたのでしょう。
第2位 おまえにとってはその方が父だ…
バランはその後、黒の結晶の爆発を阻止するために力を使い果たし、命を終えます。
その時に言及するのもやはり、ダイの育ての親に対する思いでした。
・・・泣くな・・・ダイ
ダイの大冒険 22巻
私は真の竜の騎士ではない・・・
・・・・・・力も・・・魔力もあったが・・・
心が無かった・・・
おまえにはそれがある
おまえを育てた怪物というのは・・・
私などよりずっと・・・正しい・・・
人の心を持っていたのだろうな・・・
・・・私の死などで泣くことは無い・・・
おまえにとってはその方が父だ・・・
ダイが一度も自分たちが名付けた『ディーノ』と言う名前を名乗らず、自分を父とも呼ばなかったことを、バランは納得していました。
それどころか、むしろ自分ではなくブラスこそがダイの父親にふさわしいと、自分はダイの…ディーノの父親にふさわしくないと結論付けていたのです。
息子を愛するがゆえに自分から身を引く父親のどこが『真の竜の騎士ではない』のでしょう。
彼は紛れもなく人の心を持つ真の竜の騎士であり、ディーノの父親であったことを証明する言葉でもあります。
第1位 …今のはメラゾーマでは無い… メラだ…
最後はやはり、大魔王に締めてもらいましょう!
ポップのメラゾーマをやすやすと火炎呪文で打ち消す大魔王バーン。
「大魔王のメラゾーマは俺の数倍の威力があるってのか!?」と驚くポップに返したバーンのセリフがこれです。
…今のはメラゾーマでは無い…
ダイの大冒険 22巻
メラだ…
・・・同じ呪文といえども
使う者の魔法力の絶対量によって
その威力は大きく異なる
つまり余のメラと
おまえのメラゾーマでは
余の呪文のほうが威力が大きいということだ…
これまたドラクエ…!!!
ドラクエの火炎呪文は三段階。弱い順からメラ・メラミ・メラゾーマとなります。
作中でも修行の際に序盤で使えるようになる呪文の一つはメラですが、メラゾーマまで使える魔法使いは少ないでしょう。
威力を数値で表すと、一般的にメラが10程度であるのに対し、メラゾーマは180程度と、約18倍にもなるそうです。
しかしポップはメラゾーマを扱えるだけでなく、大魔導士を名乗るだけあって威力も天下一品である自負があります。
そんなポップのメラゾーマを、バーンは火炎呪文最小のメラで圧倒するのです。
ドラクエシステムを知っているほど、大魔王との力量さがありありと伝わり恐怖と変わる演出です。
大魔王バーンは、ドラクエシステムを上手に利用してあらゆる絶望感を与えてきます。
それを物語として最高の演出にして魅せる作品の手腕は素晴らしいの一言です。
まとめ
あえて敵陣営のみの名言、どうだったでしょうか。
敵と言えどもそれぞれ譲れない哲学があり、それがキャラクターに命を吹き込んでいることがよくわかりますね。
ここではご紹介しきれなかった名言やキャラクターもたくさんいますので、皆さんもお気に入りのものを探してみてください!
ダイ大は、いいぞ…!!
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