すみっコぐらしの映画第3弾の製作が決定しました!
すみっコぐらしと言えば、サンエックスを代表する人気キャラクター。
キャラクターものの映画にしては3作も製作されるほど支持されることは珍しいですが、すみっコぐらしの映画が支持される理由はなぜなのでしょう?
ただかわいいだけでなく「泣ける」どころか「トラウマ」とまで言われる過去作の内容にも触れていきます!
すみっコぐらし映画第3弾の放映時期いつ?
すみっコぐらしの映画第3弾『ツギハギ工場のふしぎなコ』の放映開始は、
特典付き前売り券は同年7月14日(金)から販売されています。
すみっコぐらし映画第3弾の内容は?
すみっコたちが森のはずれで見つけた古い建物は、おもちゃ工場。
「いっしょに作ってみよう!」
と、それぞれミシンを使ったり、虫めがねで検品したりと、おもちゃ作りに挑戦しはじめますが、
その工場にはふしぎなところが…
映画オリジナルキャラクター
毎回映画オリジナルキャラクターが登場するすみっコぐらし。
今回のオリジナルキャラクターはくま工場長です。
蝶ネクタイにシルクハットという少し気取った出で立ちのくまさん。
ほめ上手ですが、なにかひみつがあるようです。
ぺんぎん(本物)も登場
実は今回、メインの5人とそれぞれの相棒みにっコたちというお約束メンバー以外に、ぺんぎん(本物)とその相棒ふろしき(ボーダー)も登場します。
ぺんぎん(本物)はしろくまが北にいたころ出会ったお友だち。
どうやら今回は、しろくまにスポットの当たるお話になりそうです。
泣けるのは第1作?第2作?その内容は?
そう、すみっコぐらしの映画は、子ども向けだろうと無防備に見に行った大人が泣いて出てくることで話題となった経緯があります。
特に第1作目『とびだす絵本とひみつのコ』はそれが顕著で「トラウマ」「子ども向け奈須きのこ」等と称され、評判というよりもはや悲鳴やどよめきが起こった問題作でした。
奈須きのこというのは、Fateシリーズの生みの親。エログロは元より、精神的にあらゆる方向からえぐられるトラウマ大量生産っぷりでも有名です。
すみっコぐらしは子ども向けなので、年齢制限のかかるようなものとは無縁な内容ですが、精神的なえぐり方が奈須きのこ氏に似ている、という意味のようです。
第1作目『とびだす絵本と秘密のコ』
私も子どもたちと観て驚愕した問題作です。
一時期サブスクで無料公開されていたので、私も子ども二人もすみっコぐらしが好きなことから、特に深く考えず子どもたちに誘い掛けて見せてみました。
序盤はわたしも観ていましたが、かわいいすみっコたちがかわいい絵本の世界でかわいいことをしている姿に癒され、子どもたちも喜んで見ているのを見て安心して家事に戻ったのです。
終わるころに部屋に戻って来て驚きました。
当時6歳の上の子がテレビの前で突っ伏して泣いているのです。(感受性豊かですが、映像作品で泣くのは初めて)
しかし、当時3歳の下の子に聞いたら「かわいかったー!」と満面の笑みで飛び跳ねています(ちなみに3歳の子が映画を最後まで楽しんでみたのは、アンパンマン以外ではこれが初めてでした)
何があったのだろうと興味がわき、後日改めて視聴することに。
下の子は喜んでいましたが、上の子は「寂しくなるからいやだ」と最初抵抗。
無理してみなくていいよと別室に促しますが、気になるらしく結局一緒に見始め、すぐに夢中になってしまいました。
見て納得。
私が声を上げて号泣する羽目になりました。
『飛び出す絵本』と言う舞台設定が秀逸
かわいいキャラクターものの映画化となれば、まぁかわいいキャラクターがかわいいことするだけで終わるだろう、となんとなくイメージしてしまいます。
しかし、『とびだす絵本とひみつのコ』は違いました。
まず、舞台設定として『とびだす絵本』という設定が秀逸です。
作中出てくるこの『とびだす絵本』は、世界の名作を一冊に集めた大きな絵本です。
すみっコたちはこの絵本の世界に吸い込まれるのですが、どの世界に行っても、小さな子でもよく知るお話ばかりで、一目で「今、何のおはなしを舞台にしているのか」が把握できます。
そして、ただの絵本ではなく『とびだす絵本』、要は仕掛け絵本であるため、良く知るお話であってもマンネリ化せず、仕掛けを見つけるたびに「何が起こるのだろう」と言う先が読めないワクワクがうまれ、絵面的にも映画映えする派手な演出が盛り込めます。
それも、絵本に開いてしまった穴を通ることで次のページ(お話)にワープするという面白さ、
ネタバレになりますが、地面(他のページ)を切り刻んで引っ掻き回すことで他のおはなしと混ざってしまう、という意外な展開など、『飛び出す絵本』と言う世界設定を最大限に活用した演出がてんこ盛りです。
もちろん絵本なので、絵柄もかわいくすみっコぐらしの世界観も壊しません。
この世界設定が秀逸すぎて、すみっコぐらしの映画は今後この第1弾を超えることが難しいのではないか、と危惧してしまうくらいです。
伏線回収の美しさ
『とびだす絵本とひみつのコ』は二つのストーリーが絡み合っていきます。
- 絵本の中に迷い込んだすみっコ&みにっコたちが元の世界へ帰る方法探し
- 絵本の中で出会ったひみつのコの帰る場所探し
ひみつのコことひよこ?は記憶のない迷子で、帰る場所も家族もわからない状態。
そんな彼にすみっコたち(特にぺんぎん?)が親近感を抱き、自分たちが元の世界へ帰る方法を探しながら、ひよこ?が元居た物語も探すため、絵本の中の各お話を旅して行くのです。
一緒に旅するうちに、何も思い出せないひよこ?にすみっコたちは、帰る場所が見つからなかったら僕たちの世界に一緒に帰ろう、と誘い掛けるようになります。
仲間の証として、皆でおそろいの花飾りを頭に飾りました。
ひみつのコの正体と別れ
ここからはネタバレです。
結論からいうと、ひよこ?には帰る場所など最初からありませんでした。
彼はどこかの物語の登場人物などではなく、真っ白な空きページに誰かが戯れで書き残しただけの、ただの落書きだったのです。
初めから、帰る場所も、家族も、仲間もいない、異端な存在だったのです。
それも見た感じモノクロの、鉛筆で描かれたような落書き。消しゴムで消せてしまえるような儚い存在のようです。
これが「トラウマ」「子ども向け奈須きのこ」とまで言われた理由です。
最初から誰にも求められていなかった、意味もなかった存在だっただなんて。
ひよこ?の正体がわかるのは終盤。
ようやく見つけた天井の穴、絵本の出口から出ようと、切り刻まれた世界のパーツを寄せ集めたタワーを使ってすみっコたちが脱出するときです。
みにっコが一人出口に吸い込まれた時に皆は気づきます。
この世界で見つけて身に着けたものは、絵本の世界のものは、出口を通れず絵本の世界に残されるのです。
ひよこ?も当然、すみっコたちの世界には行けません。
最後の救い
突貫作業であつらえたタワーはバランスが悪く、やがて崩れ始めます。
出口もどんどん狭まっていき、一人、また一人と吸い込まれていきます。
仲間の証だった花飾りだけを落としながら。
一人、倒れかけるタワーを必死で支え、すみっコたちが全員帰れるように奮闘するひよこ?。
最後までひよこ?と一緒に帰ろうと抵抗するぺんぎん?たち。
そんな中駆けつけたのは、途中で出会い、おにぎりを分かち合って親睦を深めたヴィランたち(赤ずきんの狼や、桃太郎の鬼など)でした。
ひみつのコと共にタワーを支え、この子には自分たちがついているから安心しろ、と送り出してくれるヴィランたち。
最後のぺんぎん?も吸い込まれ、残された花飾りたちはバラバラに散り、花吹雪となってひみつのコたちに降り注ぐのでした。
エンディングでは、ひみつのコが書かれた空白のページにすみっコたちがお家や、自分たちの分身を描きます。
スタッフロールで、すみっコたちの分身がひよこ?と戯れるシーンが次々と流れ、ひよこ?がひよこ?の世界で帰る場所と仲間を得たことを示し、幕を閉じるのです。
繰り返し見ることをお勧め
外観のほんわかさからは想像しにくいひよこ?の正体と容赦ない決別に、繊細な人や小さな子の中にはトラウマになってしまった人も多いようです。
特に、泣いてしまったりしてスタッフロールを見られなかった人には、ひよこ?が取り残されるシーンが強く印象に残ってしまうのだとか。
ちなみにうちの子たちも、二人ともとても繊細。
特に上の子は、一回見た直後は「悲しくなるからいやだ」と忌避する言動があったのですが、
下の子が無邪気に見たがるし、質が高いことはわかるからかテレビで見ているとどうしても見たくなってしまって観ているうちに、トラウマどころか「心に残る映画」として今ではお気に入りとなっています。
下の子の方はというと、理解が追いついてくるにつれ物語の悲しい面もわかってきたようですが、「ただ悲しいだけではない」ことも理解していき、ずっとお気に入りです。
映画は娯楽ですし、好みはあるので無理強いする必要はありませんが、
悲しい思いをしてでも見る価値のある映画ではあると思います。
回数を重ねることでその価値に気づける人も多いと思うので、一回だけの印象で決めつけるのはもったいないなぁと感じます。
第2弾『青い月夜のまほうのコ』
すみっコぐらしの映画初心者の方、特に気楽に「かわいいキャラクター映画が見たい」方には第2弾の『青い月夜のまほうのコ』をお勧めします。
見る順番としてはむしろ、『青い月夜のまほうのコ』を見て、もっと救いのないものでも行ける人は『とびだす絵本とひみつのコ』にも手を出してみることをお勧めします。
とはいえ、第1弾が群を抜いてショッキングすぎるため、比べると普通に思えるのですが、第2弾もなかなかの問題作です。
なぜなら、すみっコたちが夢を失うからです。
夢を知らない魔法使いたち
今回出てくるオリジナルキャラクターは、魔法使いの5人兄弟です。
みんなでキャンプをしに来たすみっコたちは、ひょんなことからその魔法使いたちに出会います。
魔法使いたちのまほうで夢のような時を過ごすすみっコたち。
ただ、魔法使いたちが地上にいられるのはその一晩だけの特別なもので、魔法使いたちは夜が明ける前に慌てて帰っていきました。
末っ子のふぁいぶとみにっコのタピオカを取り違えて。
ふぁいぶはすみっコたちに保護され、元の世界に帰る手段がわかるまでとかげと一緒に暮らすことになります。
悲しい思いをするくらいなら、夢なんかいらない?
すみっコたちと過ごすうちに、ふぁいぶは「夢」と言うものを初めて知ります。
魔法で何でもかなえられる魔法使いは、「夢」と言うものを知りませんでした。
しかし、ふぁいぶの目からすると、すみっコたちは「夢」があるからこそ、夢に届かないことに劣等感や焦りをもち、苦労しているように見えたのです。
ふぁいぶは魔法で、みんなを苦しめる「夢」を消すことにしました。
夢に伴う痛みこそがアイデンティティの一角
夢を失い、理想を追わなくなったすみっコたちは、確かに苦労はしなくなりましたが、努力も生きがいも無くしてしまいます。
そんなすみっコたちの姿に、ふぁいぶは初めて「夢」と言うものの大切さを知り、自分がしてしまった罪の深さに気づくのです。
哲学ですかね。
って内容ですが、安心してください。すみっコぐらしの話です。
「すみっコぐらし」の背負う影
「すみっコぐらし」と言う存在じたいが、キャラクターものの中では少し影がある設定です。
寒がりなしろくま、恥ずかしがりやなねこ、自分の正体を思い出せないぺんぎん?、正体を隠しているとかげ、食べられたいのに食べてもらえないとんかつ…
要は、様々な爪はじき者たちの寄せ集めなんですよね。
自尊心が低いが故に、すみっコに身を潜めて過ごす存在。
そんなすみっコから見える景色を物語にすると、自然、何らかの影に着目してしまうのかもしれません。
すみっコぐらしの映画は、無邪気に無防備に楽しめる類ではありませんが、心のすみっコに留まる作品であることは間違いありません。
まとめ
すみっコぐらしの映画第3弾『ツギハギ工場のふしぎなコ』は、2023年11月3日(金・祝)公開です!
泣けると評判のすみっコ映画。
特に第1弾『とびだす絵本とひみつのコ』は見た目と内容のギャップで多くの被害者が出たことで有名になりました。
第2弾『青い月夜のまほうのコ』も、第1弾ほどのショックではないものの内容の深さは健在で、どうやらすみっコぐらしの映画は哲学的なものを内包する路線のようです。
愛らしい外観に、心をえぐる内容のギャップが気になる方は、是非すみっコぐらしの映画を一度見てみてくださいね!