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映画バービー原爆はなぜ炎上?オッペンハイマー映画と話題に?

映画バービーは、世界的に有名な着せ替え人形バービーを主人公にした実写映画です。

女児向けおもちゃの定番であるバービーの映画は、内容も女性向けで、ピンクにピンクを塗り重ねたキュートな世界観で描く恋愛コメディなのですが、

なぜかアメリカでは映画バービー原爆のきのこ雲をコラージュしたファンアートがネットミームとなり盛り上がっています。

しかも映画バービー公式アカウントが、これらのファンアートを煽るようなコメントをツイートしたことが日本で知れ渡り、国を超えた炎上騒動になってしまいました。

何故映画バービーが、イメージとは程遠い原爆とコラージュされているのか、

不謹慎ともいえるこのコラージュがなぜアメリカで受け、日本では炎上したのか、

今回の騒動をまとめてみました。

目次

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何故バービーとキノコ雲?

ことの発端は、アメリカでは映画バービーと映画オッペンハイマーが2023年7月21日に同日公開されたことによります。

オッペンハイマーとは、「原爆の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記スリラー映画。

偶然同日公開されたため、アメリカではコメディである映画バービーとシリアスな映画オッペンハイマーを同じ日に見たり、並びたててギャップを楽しむ「Barbernheimer(バーベンハイマー/造語)」がネットミームとなってもてはやされているのです。

https://twitter.com/barbiemovie_jp

このバーベンハイマー、ネット上では両映画の要素を合成(コラージュ、コラ)する遊びに発展。

バービー役の女優マーゴット・ロビーの髪型キノコ雲にしたり、キノコ雲をバックにバービーとボーイフレンドのケンが笑っていたりする画像がもてはやされています。

サウナと水風呂に交互に入って「整う」のと似たような感覚なのでしょうか…

両極端なものを無理やり混ぜてギャップの面白さを楽しむ、という感覚は確かにありますし、

それが度を越した不謹慎なものになってしまうことは、日本国内でも今まで多くありましたが、

今回の件は、公式が絡んでしまったために深刻な問題となってしまいました。

 

コラに対する公式の反応

そんなファン同士の不謹慎な遊びに乗ってしまったのが、映画バービーの公式アカウント

バービー役の女優マーゴット・ロビーの髪の毛がキノコ雲になっている画像には「This Ken is a stylist (ケンは素晴らしいスタイリスト)」、爆発を背景にオッペンハイマー役のキリアン・マーフィーが笑顔ではしゃぐロビーを担ぐ画像には「It’s going to be a summer to remember(思い出に残る夏になりそう)」等とハートの絵文字交じりでコメントしてしまったのです。

これらの公式のコメントが日本にも知られることとなり、大きなバッシング、炎上騒動を引き起こすことになります。

https://twitter.com/barbiemovie_jp

同年7月31日には日本の配給元ワーナーブラザースジャパン合同会社がコメント。

バーベンハイマーは公式なものではないことを前置きし、

(前略)

一方で、このムーブメントに起因したファンのSNS投稿に対し行われた、映画『バービー』のアメリカ本社の公式アカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社にしかるべき対応を求めています。

この配慮に欠けた一連の反応について、不快な思いをされた方々には、お詫び申し上げます。

米ワーナーブラザーズが同日(日本では8月1日)「配慮に欠けた投稿を遺憾に思っております。心からおわびします」と謝罪。

問題になった公式アカウントのコメントも削除されました。

 

日本でバービー炎上した理由

今回のミームに対する公式アカウントの反応に抗議するため、日本では7月31日午前「#NoBarbenheimer(ノーバーベンハイマー)」がトレンド入り。

8月1日には「核政策を知りたい広島若者有権者の会(カクワカ広島)」のメンバーを含む「広島・長崎を忘れない市民有志」が、今回の件の再発防止を求める署名#NoBarbenheimer 映画『バービー』と『オッペンハイマー』の配給会社に行動を求めます」も立ち上げがありました。

何故炎上に繋がったのか

しかし、先述しましたが不謹慎なネットミームは今回に始まったことではありません。

日本国内でも人の死にまつわる不謹慎な流行りが起こったことは、枚挙にいとまがありません。

それが、なぜ今回のバーベンハイマーはここまで炎上したのでしょう。

公式の反応

ただのネットミームで一部の人たちが悪ノリしているだけなら、ここまで炎上しなかったでしょう。

不快に感じ、反発する人は多く出たでしょうが、そのような悪ノリはネット上ではよくあることですから。

しかし、それを公式が煽ってしまったのでは話が違います。

公式が好意的な反応をするということは、この悪ノリを公式が応援・歓迎していると同義です。

ひいては、公式は原爆を笑いのネタに扱うことを支持している、と見做されても仕方がないのです。

普通のブラックジョークに公式が乗るのは「公式のノリがいい」と歓迎されることもありますが、ジョークのネタが誰かの命や尊厳を脅かすものである場合は慎重に扱う必要があるのではないでしょうか。

戦後教育の差

今回、多くの日本人が驚かされたのが、この「日本と他国との原爆に対する認識の差」ではないでしょうか。

日本では小学3年生から教科書で戦争の、それも第二次世界大戦の原爆にまつわる話に触れ始めます。

過去に戦争はいくつもありましたが、日本にとって『第二次世界大戦の原爆投下』はそれだけ特別なものなのです。

私も日本人なので、あまりにも当たり前すぎて、この文章を書きながらどう言語化し整理すればいいのか混乱するほど、日本人にとっては「原爆投下」はあまりにも恐ろしく、許されないことであり、どんな理由があっても世界のどこであっても二度と起こしてはならないと刷り込まれている常識です。

それが、寄りにも寄ってその原爆を落とした加害国であり、現在も核を保有しているアメリカ人にとっては、コラ素材にして笑えてしまえるような程度の感覚なのだと感じられてしまったことが、多くの日本人にとってはあまりにもショックだったのです。

例えるのなら、いじめ被害者が自分と同じような悲劇を繰り返すまいといじめ被害者を救うNPO法人を立ち上げているところに、いじめ加害者がいじめ画像をアイコラして見せつけてきたような不快さ、とでもいえばいいのでしょうか…それでも足りないほどの、生理的に受け付けないものがあります。

たとえ話で表現するにも、とてもここには書けないようなおぞましい例えにしなければ伝わらないほどの不快感があるほどなのに、

アメリカ人にはそれに配慮する気がないのか、というショックがあったのでしょう。

最も、不謹慎なネットミームはあくまでも一部の人たちだけのものであり、この件だけでアメリカ人の大半を論じる材料にはならないことも付け加えておきます

日本にとっての夏

さらには、時期も最悪でした。

日本人にとっては8月6日は広島へ、8月9日は長崎へ原爆投下された日です。

原爆投下時刻に黙とうをささげた経験が無い日本人はほとんどいないのではないでしょうか。

この時期になるとテレビでも戦争関連の内容が増え、さらには8月半ばのお盆で死者に思いを馳せる機会も増えます。

日本にとっては、夏と死と原爆は、切っても切れない関係性があるのです。

7月末ともなれば、そろそろその気配が漂ってくるころ。

そんな中で、原爆ミームを流されたら、あえて最悪なタイミングを狙ったのかと勘ぐってしまうほどです。

それを煽るように公式の「思い出に残る夏になりそう」発言。

ええ、ええ、日本にとっては思い出に残っていますよ。そちらには残っていないんですか?原爆の思い出が。加害国なのに。

という感情が湧いてしまっても仕方がないと思います。

2023年8月6日現在、アメリカによる日本への原爆投下は過去のものですが、核を保持し続けていることは現在進行形なのです。

自らが持ち続けている武器の恐ろしさを把握していないことに、被爆国が怒りと恐怖を覚えることは、自然なことだと考えます。

映画バービー日本公開日

悪いことは重なるときは重なるもので、

すでに大波乱を巻き起こしてしまった映画『バービー』、

日本公開は2023年8月11日です!

公開直前にこんな炎上騒動になってしまい、元々楽しみにしていたバービーファンの心にも水を差してしまいました。

まとめ

https://twitter.com/barbiemovie_jp

映画バービー公式アカウントの炎上理由は、バービーと原爆映画をコラージュする一部の悪乗りバーベンハイマー」を煽って楽しむようなコメントを寄せてしまったことでした。

そのことから、原爆加害国であり核兵器保有国であるアメリカの原爆に対する意識の低さが透けて見えたように思え、日本の多くの人たちが不快感をあらわにし、炎上へと繋がります。

すぐに配給元が抗議、謝罪し、件のコメントも削除されましたが、日本公開直前に深い爪痕を残してしまいました。

しかし、公式アカウントの言動は決して製作側の意図とイコールではありません

映画バービーはそもそも、原爆とは無縁の話。

ネットミームが流行ってしまったのも、映画バービー事態の本来の人気の高さ故のことです。

今回の件と映画バービー事態の評価別問題として切り離して考える必要があると思います。

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