ハグプリこと『HUGっと!プリキュア』は2018年度に放送されたプリキュアです。
プリキュア15周年ということで様々な挑戦的な取り組みが見られ、その中でも一話限りとはいえ男子プリキュアが登場した初めてのプリキュアであることから、2023年度の『ひろがるスカイ!プリキュア』で正式な男子プリキュア登場に合わせて改めて話題にもなりました。
そんなハグプリが未だに人気のある理由の一つに、主人公の野々はな(キュアエール)とジョージ・クライの関係性があります。
作中での明言は避けに避けられたものの、断片的に散らばらせられた情報を集めてみると、ハグプリの隠された設定は驚くものがありました。
ここでは、ファンを驚かせたはなとジョージ・クライの関係性を考察します!
最終話時点のはなの旦那についても言及しますよ!
ジョージ・クライの正体
ジョージ・クライとは、最初ははなが一人のときにだけふらりと現れる謎の大人の男性でした。
女子中学生相手に謎めいた(ポエムのような)セリフを吐いて「君は本当に素敵な女の子だね」「またね」等と言いおいて去っていくため、視聴者には不審者呼ばわりされていました。
その反面、敵対組織クライアス社のパップルとは男女の関係であることが示唆されており(いつもキングサイズのベッドとソファのある部屋で会っており、パップルはたいていベッドに腰かけてジョージに一方的に話しかけている)、視聴者にはきな臭さを感じさせていました。
その正体はクライアス社の社長、プレジデント・クライと呼ばれていた人。まごうことなきラスボスです。
プレジデント・クライといえば、部下の失敗を激しく叱責するシルエットとして初期から登場していましたが、これは実はリストルが操作していたアバターでしかなく、ジョージ本人はその場にいなかったのです。
はなはジョージに対して「初恋のようなもの」(スタッフインタビューより抜粋)を抱いていましたが、それが明確になる前に23話で正体を知り、以降はトラウマじみた恐怖と拒絶を抱くようになります。
はなとジョージ・クライの情報整理
はなとジョージの関係性を読み解くには、ジョージ達の未来世界を知る必要があります。
ジョージが見てきた未来世界は、ジョージが持つ書物『楽園の物語』に集約されています。
楽園の物語
ジョージが常に肌身離さず身に着けている本を、ジョージは『楽園の物語』と呼んでいました。
しかし、プリキュアたちの行動によって特定のページが白紙になりジョージが「未来が変わった」と驚き面白がる描写があることから、どうやらこの本はジョージが歩んできた(そしてはぐたんたちが来た)未来世界の歴史が書かれており、未来が変わって予測不能になるとその箇所が白紙になるようです。
この本は未来世界とはなたちの現代との差に反応するだけでなく、ジョージはこの本にため込まれたトゲパワワを利用して種々様々な攻撃を繰り出すことができます。
この本から抜粋しているらしいジョージのセリフ、この本が白紙になるタイミング、それに対するジョージの反応を読み解くことで未来の世界がどのような道筋をたどったのかが見えてきます。
この本がどういう経緯で生まれたものなのかはわかりませんが、ジョージだけがあまりにも自在に操れることを考えると、もしかしたらこの本の著者はジョージで、彼自身の日記じみた歴史(=ジョージ自身のトゲパワワ)が蓄積されたものなのかもしれません。
この本の絶大な力こそがジョージ自身の抱えてきた苦しみそのものなのかと考えると、胸が痛くなります。
第8話
初めてはなと出会ったとき、この本のことを「皆が希望にあふれていた『楽園』と呼ばれる場所があったが、そのきらめきは永遠に続かなかった」と返す。
第11話
オシマイダー化したチャラリート出現直前に、はなに「明日を失いつつある世界のため、剣は何も持たない少女を選んだ」と伝えます。
その戦闘でキュアエールは『プリキュアの剣』を生み出し、それを見守っていたジョージは「少女は剣に選ばれ、民衆と共に戦う」それが「民衆が望んだ形」だと物知り顔で語りますが、キュアエールは一度は手に取った剣でチャラリートを倒すことを拒絶し、チャラリートを抱きしめ励ましたことで、剣はメロディソードへ変化。『楽園の物語』も白紙になります。
第39話
ミライクリスタル・ホワイトが覚醒を通り越しミライクリスタル・マザーハートとなり、『楽園の物語』が白紙に。
第42話
アンリがキュアアンフィニに変身し『楽園の物語』に変化が。
このときにジョージはエールのことを「『未来をつかさどる女神』マザーハートのようだ」と言っています。
第46話
はなは夢の中でウェディングドレスを着て、多くの絵画が浮かぶ空間にいます。
その中の一つ、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』に目を止めると、背後に現れたジョージが語り掛けてきます。
「改革を求め立ち上がる民を輝きへと導く凛々しい女神… 人が輝く一瞬を切り取った絵画は美しい…
だが、時を重ねるたび、その輝きは消えていく… 変わっていく人の心… 自らを導いた女神の存在すら…」
最終決戦前、ジョージはエレベーター内ではなと二人きりになり、花束を差し出します。
花はクラスペディア。花言葉は、永遠の幸福。
しかし、はなに花束ごと拒絶され「時を止めるなんて間違ってる!どうして、みんなを苦しめるの⁉」と責められ、ジョージは初めて激しいショックを表情に出します。
そして語りだすのです。
未来の時間を止めたのは自分ではなく、そこに生きる民衆、文明の進化の結果だったということを。
文明は進化しても人類の精神的な成長はそれに見合わず、人が生み出したトゲパワワが世界に広がり、アスパワワは失われ、世界の時間が止まってしまったのです。
未来のプリキュアを倒し幽閉したことも、彼は「愚かな人々を救うためにあがく彼女達の苦しみを・・・、取り去ろうとしただけだ・・・。」「何度救っても人間が辿る未来は、破滅へと続いている・・・。」と述べます。
その脳裏には、赤髪の女性の幸せそうな笑顔、それがトゲパワワにかき消されるイメージが浮かび「プリキュアの戦いは無意味だ…」と続けます。
この時の赤髪の女性は明らかに前髪を切らないまま成長したはなの姿であることから、ジョージは未来のはな(以下アナザーはな)と親密な関係(おそらく恋人や伴侶)であり、『楽園の物語』に記された『少女』はアナザーはなのことだったろうと推測できます。
「今、君は幸せなんだね…僕は皆を救いたい…。破滅に向かう前に…」
「さあ、一緒に行こう…。」
しかし、はなに改めて拒絶され、ジョージは去ります。
一方、ルールーと会話していたトラウムは彼をこう評します。「何もしない男」「ただ我々を見つめてる」と。
いよいよ始まった最終決戦。無尽蔵に猛オシマイダーを増やしながらジョージは語ります。
「少女が目指すは、花咲き乱れる理想の王国。夢は叶え、人々は笑顔に満ちた…。」
「だが…、人々に望みは尽きなかった…。1つの夢が叶えば、そのまた次へと…。明日への希望は欲望へと変わり、王国を狂わせていった…。」
「だから決めたのだ…。時間を止めよう…。皆が笑顔のまま暮らせるように…、共に終わらぬ永遠を…。」
第47話
世界の時間を止めた最終決戦。ジョージの『楽園の物語』を駆使した攻撃はあまりにも圧倒的で、プリキュアたちは追い詰められます。
ジョージははなを説得するために、はなの目の前で仲間たちを痛めつけたりと非道な手段に出ますが、諦めないプリキュアたちに業を煮やし、他のプリキュアを空間の間に閉じ込め時間を止めて手も足も出ない状態にしてしまいます。
それでも対峙するエールでしたが、気が付くと二人の空間は一面の花畑になっていました。
花の名前はソリダスター。花言葉は永遠。
第48話
ソリダスターの咲き乱れる中で、ジョージははなを抱きしめ「民衆を守るため戦い続ければ、君は傷付き、穢れていく…。」「2人で生きよう…傷つけるもののいない世界で…終わらぬ永遠を」とささやきますが、エールは拒絶。
「綺麗事でもいい…。それでも…、みんなで明日を信じれば、奇跡が…。」
「どれだけ願っても…、世界は変わらない! ただ異端として、排除されるだけだ!」
「真っ直ぐに理想を語る君の事を、人は冷笑する! 嘲笑う! バカにする!」
「それでも…、たとえバカにされたって…、そんなの夢だって笑われたって…、傷付いたって…、私は…、何度でも立ち上がる…!」
「立ち上がって…、みんなを応援する! なんでもできる…。なんでもなれる…。」
「フレフレ、みんな…。フレフレ、私…!」
「これが…、これが…、私のなりたい…、野乃はなだー!」
はなの叫びに皆が呼応し、プリキュアたちが復活します。
「なぜ、未来がそんなに怖いの…?」
「どうしても僕と君は…、分かり合えない運命のようだな…。」
「笑っていても、いつもあなたは泣いているみたい…。」
「ハハハ…。僕の時間は…、もう動く事はない…。」
そう話すジョージの瞳には、あの赤髪の女性の像が映っていました。
ジョージは自身を猛オシマイダー化させますが、完全復活したプリキュアたちどころか、時間が動き出した世界は全人類をプリキュア化させるという奇跡を起こしました。
オシマイダー化したジョージと復活したプリキュアたちとの激突を愛崎家の一室で見守る現代のトラウムの横に、白いシャツに黒い癖毛の青年が立っており、その青年のほほを涙が伝っていました。
顔は見えませんでしたが、この青年、確実に現代のジョージですよね!
一丸となった全人類相手ではさすがのジョージも太刀打ちできず、『みんなでトゥモロー』にて出現するマザーハートに抱きしめられて浄化されました。
決着が着いた後、崩壊する永遠の城の中で終わりを待つジョージをキュアエールは探し出し、声を掛けます。
「一緒に行こう…。」
「どこへ…?」
「未来へ…。」
「無理だよ…。僕は未来を信じない…。」
「ウソ…。本当に未来を信じていないのなら、どうして、いつも私に、またねって言うの…?」
キュアエールの言葉に、ジョージのほほを涙が伝いました。
「君は、本当に素敵な女の子だね…。」
「またね…。」
いつもの言葉を残し消えるジョージ。
しかし、今日は最後にもう一言付け加えました。
「僕も…、もう一度…。」
ジョージ・クライのあゆみ
上述した内容を集約させると、ジョージ・クライの今までが次のように想像されます。
前髪を切らなかったうえにはぐたんも訪れなかったアナザーはなは、
「剣は何も持たない少女を選んだ」
第11話
とあることから、はぐたんはおろか、さあやほまれ、えみるといった仲間にも出会うことは無く一人でプリキュアとして活動していたことが伺えます。
プリキュアの剣を振りかざし、『花咲き乱れる理想の王国』を目指し民衆と共に戦い、成し遂げたアナザーはな。
ジョージはその過程で彼女と出会ったのでしょう。(最終決戦を愛崎家でトラウムと観ていた青年がジョージなら、もしかしたら愛崎家と関係のある人物であり、はなの妹ことり→そのクラスメイト愛崎えみる経由で出会ったのかもしれません)
ジョージの心酔っぷりから、ジョージにとってのアナザーはなは憧れであり、理想であり、世界の全てであったようです。
しかし、人々の望みは尽きず、
「明日への希望は欲望へと変わり、王国を狂わせていった」
第46話
「真っ直ぐに理想を語る君(アナザーはな)の事を、人は冷笑する! 嘲笑う! バカにする!」
「ただ異端として、排除されるだけだ!」
「民衆を守るため戦い続ければ、君は傷付き、穢れていく・・・。」
第48話
アナザーはな自身がどれだけまっすぐに生きても、最終的には民衆に蔑まれ排除され、アナザーはなは傷ついていきます。
「穢れていく」が具体的にどのような状態を指すのかはわかりませんが、アナザーはな自身がトゲパワワに捕らわれるほどの絶望に飲まれてしまったのか…下手すると民衆に手を上げられたり、具体的に何らかの被害を受けた可能性もあります。
それらの末に、ジョージはアナザーはなを失ってしまったのでしょう。そして未来の世界は民衆たち自身のトゲパワワで時間を止めてしまいました。
「何度救っても人間が辿る未来は、破滅へと続いている(第46話)」
第46話
というセリフから、ジョージも最初は諦めなかったのだと察せられます。アナザーはなとアナザーはなの愛した世界を救おうと、クライアス社の時間移動の力で何度もトゲパワワに染まり時間が止まる結末を変えようと奮闘したけれど、何度繰り返してもそれは叶わなかった。
何度も繰り返すうちに、何度でも同じ過ちを繰り返す人類に、何度でも自分の最愛のアナザーはなを追い詰め失わせる世界にジョージが絶望したのは無理もないことです。
アナザーはなの末路は、Fateの英霊エミヤを彷彿とさせます。エミヤの末路に桜が絶望して闇落ちしたようなものだと考えると、ジョージの無気力さも合点がいきます。
そして、大事な人の非業の死を避けるためにタイムリープを繰り返し、避けきれずに絶望していく様は、さながらシュタインズ・ゲートのオカリンです。
この二つを合わせているようなものと考えると、彼の絶望の深さに絶句してしまいます。
絶望しあきらめたジョージは、自分たちのトゲパワワで時間を止めてしまう、いわば集団自殺のような結末に至る前に、まだ民衆が未来に希望を持つうちに時間を止めてしまおうと考えます。
しかし、そんな中でもジョージとは別に奮闘する人間がいました。
キュアトゥモローたち4人の未来のプリキュアです。
すでに時間を止めることを決めてしまったジョージとプリキュアたちは対立し、ジョージは4人中3人のプリキュアを倒しますが、最後の一人キュアトゥモローは未来をはぐくむ女神マザーハートの力を宿していたため、一時幽閉します。
それをクライアス社の社員だったハリーが救い出し、トゥモローと共に脱走。ビシンを追わせますが、トゥモローはミライクリスタルホワイトの力を全放出してハリーと過去に逃げます。
クライアス社はそれを追いかけ、現代はなたちの世界に来たのです。
この世界の時間も止めてしまえば、未来の世界に至るよりさらに前の段階で世界を救えるため、ジョージはこの現代世界の時も止めることを目指し、そのためにミライクリスタルがそろう必要があったため、それらの成熟を待つためジョージはプリキュアの正体を突き止めておきながらも泳がせていました。(もしかしたら初期社員たちはその当て馬にさせられていたのかもしれません)
しかし、ジョージはただプリキュアたちを泳がせておくだけではなく、はなにだけ個人的に接触を図ります。
ジョージの最愛のアナザーはなは、仲間に出会えず、一人で立ち上がり戦い続けた孤高の戦士。その末、人々に裏切られ非業の最期を遂げる悲劇のヒロイン。
それに反して、現代はなは仲間に恵まれ、幸せかと問われたら「うん!」と即答する少女です。
時を止める前に、声をかけずにはいられなかったのでしょう。最愛の人の幸せな笑顔を間近で見て、他愛のない言葉を交わしたかったのです。
ジョージは前半はパップルと、後半はジェロスと男女関係を持っており、ジェロスはパップルからジョージを奪ったことに勝ち誇ってはいますが、ジョージははなしか見ておらず(本当にパップルやジェロスと物理的にも向き合っているシーンが無い)「何もしない男」であることを考えると、女性の方から言い寄ってきたのを「断ることもしなかっただけ」なのだろうと想像できます。
パップルたちからすると残酷ですが、はな以外の女性も男女関係を持つことも、彼にとっては心底どーでもよかったのでしょうね…
世界の時間を止めることこそが人類の幸せ。この考えは最終決戦まで揺らぎませんでした。
しかし、一つだけ揺らいだことがあります。
ジョージはキュアエールと二人きりになったとき、ソリダスターの花畑を作り出し、エールを抱きしめます。
「2人で生きよう…傷つけるもののいない世界で…終わらぬ永遠を」
世界を止める意思は変わりませんでしたが、はなとだけは「生きたい」と矛盾した思いを吐露しています。
ジョージははなと生きたかったのです。
はなさえ傷つけられなければ、それでよかったのです。
ジョージはただ、はなが傷つけられない世界が欲しかったのです。
最終的に負け、浄化され、トゲパワワを失い、はなに「いっしょに行こう」「未来へ」と言われ、ジョージの気持ちは筆舌に尽くしがたいものだったはずです。
ジョージはきっと、アナザーはなにこう言ってほしかったことでしょう。アナザーはなに、自分と一緒に未来に向かってほしかったに違いないのです。
ジョージはいつも通り「またね」と言うことばを残し、はなの前から消えます。
その後、荒野を歩いている姿が少し映されたのが彼の最後の登場シーンです。
彼は、未来に戻ったのでしょうか。現代に残ったのでしょうか。
未来に戻るためには爆発的なアスパワワかトゲパワワが必要なので、現実的には彼が未来に帰れたとは考えにくいのですが…
どちらにしても、彼の心に再び安寧があることを祈ります。
女神マザーハートはアナザーはな?
考察の中には「女神マザーハートはアナザーはなの末路ではないか?」という説もあります。
つまり、アナザーはなはただ亡くなったのではなく、超自然的な存在に昇華してなおも人々を守ろうとしているのではないか、と。
もしそうだとしたら、最終決戦で猛オシマイダー化したジョージは、浄化されるときにようやく最愛のアナザーはなに再会し、抱きしめてもらえたということになります。
叶うはずのない悲願の叶ったジョージが、はなの綺麗事に涙を流し、「僕も、もう一度」という言葉を口にできたのだとしたら、確かに納得がいきます。
ただ…気になるのが、民衆を守り戦い続けることで「穢れていく」と言う発言です。
穢れていったアナザーはなは女神に昇華できたのでしょうか?
それとも、穢れていくことを拒絶した結果、女神に昇華してしまったのでしょうか。
どちらにせよ、ジョージの人生はあまりにも辛いものであったことは想像に難くなく、彼のこれからの未来に安らぎがあるよう祈るばかりです。
はなのあゆみ
はながアナザーはなと違う未来を描くプリキュアになれた大きな分岐点は二つあります。
未来からはぐたんが来る
まず大きな分岐点は、やはりはぐたんとの出会いでしょう。
はぐたんが来たとき、その影響で時間が一時止まりますが、そのときにはな、さあや、ほまれ、えみるの4人だけは動くことができました。
この4人にプリキュアの素質があることを示された印象的なシーンですが、彼女たちだけははぐたんの泣き声も聞くことができ、その声を追うことで出会うことができます。
前髪を切る
はぐたんと出会う日ははなにとって転校初日でもあったため、はなは登校前に自分で前髪を切ります。
ただの偶然、思い付きなのかもしれませんが、これははなにとっての過去との決別の儀式。
想定より短く切りすぎてしまったため本人はへこみますが、当時はクラスメイトや学校と距離を取っていたほまれの目にこの前髪が止まり、「イケてる」と話しかけてもらうきっかけを得ます。
ほんのちょっとの偶然ですが、これがなければさあやはともかくほまれと近づくきっかけはなかなか持てなかったかもしれません。
そのため、はなの短い前髪はアナザーはなと区別する記号とされています。
プリキュアの剣を拒絶
オシマイダー化して暴走するチャラリートと対峙するキュアエールの前に、プリキュアの剣が現れます。
ジョージの『楽園の物語』に記されていたように、これはアナザーはなの象徴的アイテム。
アナザーはなはこの剣を掲げ、民衆を先導し悪を切り伏せ戦い続けたのでしょう。
現代のはなも一度はこの剣を手に取りますが、それを向けられたチャラリートの怯えを感じ取り、剣を拒絶します。
「違うよ…。必要なのは剣じゃない」
第11話
キュアエールはチャラリートを優しく抱きしめ、暖かいエールを送ります。
そんな彼女の心を受けてか、プリキュアの剣はメロディソードへと変貌。同じものがアンジェとエトワールの元にも表れ、3人の浄化技プリキュア・トリニティコンサートが完成。
その後プリキュアたちは、敵を打倒していくのではなく、音楽を模した浄化技で敵のトゲパワワを浄化する存在となっていくのです。
チャラリートの存在
チャラリートは浄化後、動画配信者として生き生きと活動する姿が描かれます。
チャラいノリは健在ですが、キュアエールに救われたことに強い恩義を感じており、
はなが悩んだり迷ったりするたびに
「ちゃんはなにもらった『頑張れ』も、オレちゃんのハートに残ってっから!」
第42話
「その節はセンキューでーす!」
と、はなに逆にエールを届けてくれます。
最終決戦で一度全滅した後も、キュアエールたちの頑張りを感じて最初に「ちゃんはな…」とつぶやき反応したのは、ハリーでも誰でもなくチャラリートでした。
はなとチャラリートのこの関係が、まさに「情けは人の為ならず」の体現のように感じて、私は本当に好きです。
ハグプリは元クライアス社社員全員が退社後、希望を取り戻し生き生きと暮らす姿が描かれ、最終決戦で味方に周ってくれるのも好きです。
こうして互いにエールを届けあって、それぞれの先でまたエールを増やして…というエールの相乗効果が最終決戦の「全人類プリキュア化」に繋がり未来が変わったのではないかと感じています。
アナザーはなとジョージが世界を救えなかったのは、「自分が何とかしなければ」と先を走ってしまったからかもしれません。
未来を変えるためには、先導するだけでなく、生きとし生ける人類一人ひとりが、自分の人生を自分で切り開けるよう後押しする必要があったのでしょう。
そのために、エールは応援者に徹し、アムールとマシェリは「あなたを愛し、自分を愛す」と言い続け、最終浄化技は「みんなでトゥモロー」なのですよね。
出産、そして旦那は?
未来を取り戻しジョージと和解したはなたちは11年後の2030年、それぞれの未来を生き生きと生きていました。
特にはなはデザイン会社の社長をしながらなんと身重で、最終話で産気づき、赤ちゃんを出産します。
分娩に挑むはながいる産院に駆けつけるはなのパパとママ。そして、二人は一度振り返って誰かを手招きします。
その誰かはスーツを着て、手にはクラスペディアの花束が…
ジョージじゃん!!
そして生まれる瞬間、場面がハリーたちの未来世界に切り替わり、空を見上げるキュアトゥモローが「ママ…」と祈ります。
また場面がはなに戻り、赤ちゃんは無事に誕生。はなは「はぐみ」と名付け、「よろしくね、はぐたん!」と呼びかけます。
はぐたんじゃん!!
もう確定です。
未来を変えた現代はなも、ジョージと出会いジョージと結婚。
そして二人の間に生まれた赤ちゃんがはぐたん=キュアトゥモローだったのです。
そういえば、キュアエールの黄色いポンポン、祖母の名前が『たんぽぽ』で『たんぽぽ堂』を営みたんぽぽを模した『希望饅頭』を作ったことから、タンポポのイメージなのかと思っていましたが、
この最終話を見るとクラスペディアにもそっくりであることに気づきました。
まとめ
はなの旦那がジョージ・クライなのはもう、ここまで読み込んでいたら「そりゃあそうでしょうよ」となりますが、
二人の赤ちゃんがはぐたん=キュアトゥモローが確定となると、未来世界のジョージがトゥモローにした仕打ちを考えるとかなりのドロドロでして、えー…
そりゃあ作中で名言しないわけだ!と納得したのでした。
ハグプリはこのように、考察すると未来世界の話がとても日曜朝には流せない壮絶さであることがわかります。
しかもこの壮絶さ、ジョージだけじゃないんですよね。
…もう『HUGっと!プリキュア―零—』とか銘打って未来世界の顛末もアニメ化しませんか。もちろん深夜枠で。
などと思ってしまう私でした。