『ミギとダリ』は、双子の少年「ミギ」と「ダリ」が、二人で「園山秘鳥」という一人の人間を入れ代わり立ち代わり演じて過ごすという、ちょっと中身の分かりにくい作品です。
端正な顔立ちの二人がアクロバティックな入れ替わり生活を見せる様に「あり得ないだろ!」っと突っ込むギャグマンガかと思えば、
ふたを開けるとホームドラマあり、青春ドラマあり、サスペンスあり、でもやっぱり笑えて、
その絶妙なバランス感覚に、気が付けば釘付けになっている人が続出したダークホースアニメでした。
そんな『ミギとダリ』はどんな最終回を迎えたのでしょうか。
見た人たちの心を改めて揺さぶらせた、最後のフランス語メッセージは一体なんだったのでしょう。
『ミギとダリ』の評判と共にお教えしましょう!
ミギとダリ最終回ネタバレあらすじ
まずは、『ミギとダリ』最終話のネタバレあらすじご紹介です!
園山秘鳥は、ミギとダリへ
園山家の養子となったその瞬間から、二人で園山秘鳥として生きてきたミギとダリ。
その理由は、母殺害の真相を暴くためでした。
その目的を達成した今、ミギとダリが園山秘鳥として生きる必要はありません。
「実は秘鳥は、ミギとダリという二人の少年だ」と判明したところで、園山夫妻なら受け入れてくれるだろうことも明白。
しかし、冬も深まりクリスマスが迫る頃になっても、二人は未だ秘鳥として生活していました。
理由は、ダリの左頬に火傷の痕が残ってしまったからです。
ミギはそれでも二人であることを打ち明けようと何度も説得しましたが、ダリは「これ以上(夫妻に)苦労をかけたくない」と断ります。
恐らく、火傷の説明をするためには、ここに至るまでの諸々の説明が避けられないからでしょう。
クリスマスイブの夜、園山一家の話題はクリスマスプレゼントの話で持ちきりです。
あれもこれもとねだるミギに、夫妻は「プレゼントは一人一個だけ」と返します。
寝る前、ミギはダリに、その一個だけのプレゼントを「半分こしような」と約束します。
ところが、目が覚めるとプレゼントは二つありました。
驚くミギが「サンタさんが間違えちゃったの?」と聞くと、夫妻は「サンタさんは間違えないわ」と応えます。
夫妻はとっくに、秘鳥は二人の少年が演じていることに気づいていたのです。
園山家は、初めて4人で食卓を囲むことができたのでした。
瑛二との和解
すべての罪を一身に背負おうとした瑛二でしたが、奇跡的に残った丸太撮影の怜子自白テープや父・瑛の弁護により、減刑は叶いました。
しかし、少年院に入ることは免れず(おそらく本人も望むところだったのでしょう)、残された瑛と妹の華怜は遠方へ引っ越すことに。
そして10年後。刑期を終えた瑛二が帰って来ます。
瑛二は謝罪のために園山家を訪れます。緊張を隠せない瑛二にチェリーパイを差し出したのは(ミギのリクエストでダリが扮した)サリーちゃん。
破顔一笑。ダリは不服でしたが、おかげでみんなでチェリーパイを食べることができました!
ちなみにチェリーパイを作るとき、打ち粉に文字が浮き出ます。正体は、まさかのみっちゃん。
幽霊になったみっちゃんは、文字で園山夫人と交流するペンフレンドになっていたのです。
団らんを終え、ミギ、ダリ、瑛二の三兄弟が向かったのは、ミギとダリの母親メトリーの墓。
瑛二にとっては初めてのメトリーへの墓参りとなりましたが、「ここに僕の母はいない」と言い、ミギとダリも頷きます。
瑛二にとってはやはり、怜子こそが母親なのです。
二人の旅立ち
駅のホームに集う園山家とビーバーズの面々。
今日は、旅立ちの日です。
寮にチェリーパイは無い、それなら毎週焼きに行く、オーブンはあるかと迫る園山ママを止める園山パパ。笑うビーバーズ。
いつもの光景も、これが見納めです。
やがて電車が到着し、乗り込んだのは———園山ダリひとり。
ダリは遠くの進学校への進学のため、一人暮らしすることになったのです。
初めて訪れる、ミギとダリの別れ。
しかしそれは、それこそが、二人がミギとダリである証となるでしょう。
旅立つ電車を見送るように、最後にみっちゃんが現れ、何かを書き残していきました。
その内容は、後述します。
『ミギとダリ』最終回の評判(ネタバレ有)
一言では言い表しにくい作品、『ミギとダリ』。
このシュールギャグのようなサスペンスのようなホームドラマのようなごった煮作品は、最後にどう評価されたのでしょうか?
最終回の評判はネタバレ有りきでなければ語れないので、ネタバレご容赦ください!
悪い評価
悪い評価は、ある一点に集中していました。
原作者が亡くなられている。
アニメ最終回を迎えて、改めてこの件を悔やむ声が続出。
原作者・佐野菜見先生に最後まで見てほしかった。佐野菜見先生の作品をもっと見たかった。
そういう声が後を絶ちません。
総括
— もろよし(アニメ垢) (@moro0212anime) December 26, 2023
最初は笑いの中にちゃんとミステリーを含めた話から段々とミステリーに以降させる作者の技量が素晴らしい。
そしてそれが終わった後も老夫婦がちゃんと“ミギ“と“ダリ“を認識していたのがもう泣ける。
一つ残念なところがあるとすれば、作者がもうこの世にいないことかな。
#ミギとダリ pic.twitter.com/fDYzadPVxu
なぜなら、上げ足を取るのも難しいくらい、綺麗に完結したからです。
メトリーと瑛の掘り下げが少ない
あえて重箱の隅をつつくのなら、この一連の事件で一番の被害者であるメトリーと、そもそもの元凶とも言える瑛二たちの父・瑛の掘り下げが少ない、ということです。
超常的な力が働いて「これは、亡くなった母が助けに来たパターン!?」と思ったら、ことごとくみっちゃんですしね…メトリーの存在がまさかのみっちゃんに食われるとは…
ミギとダリ、みっちゃん幽霊を出すならメトリー幽霊も出してほしかったな。
— \(´ω`)/:||@バーチャルジブラー (@VIRTUAL_GHIBLER) December 26, 2023
(´ω` )
しかし、そこをあえて掘り下げなかったことで、物語は血みどろの復讐劇ではなく『ミギとダリの成長物語』に集中できた、という見方もできるため、わざわざそこを上げている人は少ないです。
瑛など、元凶でありながら、最後の最後に巻き込まれる以外はずっと蚊帳の外でしたものね…むしろその無関心っぷりがある意味復讐なのでしょうか…
なんだかんだ一条父が1番残念なんだよね…外では立派な医者かもしれないけど自分の家族すら守れないなんて(メトリーの事は怜子の差し金だったけど、こうならないようにする事は出来たはず)🥺
— ⓐⓚⓞ (@ako_no_00) December 25, 2023
瑛二もメトリーも怜子も被害者の部分があるのに、元凶の父親だけ何もないのだけが変なリアリティあるな。誰よりもヘイト買って殺されそうなのに。瑛二助けに行こうとすらしないし、正直鉄柵に引っかかってたくらいじゃ許されない。
— にかほ (@nikaho_medaka) December 22, 2023
プラネタリウムで紹介されてたのうお座なの辛い。#ミギとダリ
良い評価
驚くほどの大団円でした。
最終回一歩前までが絶望的で悲惨なルートを辿っていたので、そこからのこの全てを救う大団円はまさに「お見事」の一言です。
具体的にどこがどう評価されているのか、見ていきましょう。
#ミギとダリ
— 歩く梨タイム (@ukkun_rail_navi) December 25, 2023
スタッフロールでの表記は前回まで「園山秘鳥(ミギ)」と「園山秘鳥(ダリ)」であったが、
最終回のみ「園山ミギ」と「園山ダリ」になっていた。
“秘鳥”ではなく、“ミギ”と“ダリ”として園山家の一員になったということか。
こういう粋なことをしてくれるのは嬉しいね。
ミギとダリ 総評
— 福神漬け@アニメ垢フォロバ絶対 (@fukuaniani) December 25, 2023
評価 90.8 SS
間違えなく、今期のダークホース。最高に面白かったですし、ギャグとシリアスのバランスが素晴らしかった。圧倒的脚本力に何度驚かされたか…この作品があまり話題にならないのが本当に残念…もっと沢山の人に知ってもらいたいな…そうだ、布教しなきゃ。#ミギとダリ pic.twitter.com/gjYhsbyr8t
一家そろったクリスマス
クリスマスは、ミギとダリにとっては母メトリーの命日です。
夜中に母の不在に気づき、きらびやかなイルミネーションで飾られた街中を探し回り、すでに冷たくなっている母を見つけ、連れて帰り、二人で埋葬した日。
二人にとっては、毎年嫌でも思い出されたことでしょう。
しかし、園山夫妻の与えてくれたクリスマスは、二人に新しい意味を与えてくれました。
ようやく、園山家4人(と犬2匹)が家族になれた日になったのです。
#ミギとダリ 13話(終)
— しゅか (@shuka_anime) December 26, 2023
気づいていた老夫婦。時が来るまで見守っていてくれたんだね。ミギとダリが一緒に老夫婦の前に現れた瞬間、涙が出てきました。みんなで食べる念願のチェリーパイ。いろいろあったけどみんなの笑顔が見れて良かった。涙あり笑いありの最高の最終話でした。#ミギダリ pic.twitter.com/65DVVOmuIZ
13話
— いんでぃご (@C1OqPrdLWEeHWtE) December 25, 2023
"僕達は違うのかもしれない…
だけど変わらないものがある
僕の幸せはダリの幸せ
ダリの幸せは僕の幸せ
"ミギとダリ"タイトルの意味…
復讐を誓った一人の人生よりも
認めてくれる仲間の居る
二人の生き方…
遠くに居ても変わらない想い
証明出来ると良いですね
目茶苦茶泣いた…w#ミギとダリ pic.twitter.com/QDJjjr5n40
瑛二の出所、ダリの旅立ち
10年越しに叶った「みんなでチェリーパイを食べる」夢に、感慨無量です。
「甘党だったようだ」と感想をもらす瑛二に「モアシュガーする?」と茶目っ気のある返しの園山夫人。
これはそのままの意味だけでなく「あなたたちは、これからもっともっと幸せになるのよ」という気持ちまで感じます。
サリーちゃんアイルビーバックw
— いんでぃご (@C1OqPrdLWEeHWtE) December 25, 2023
渾身のチェリーパイジョークに
年少帰りの瑛二もにっこり
張り詰めた雰囲気を解す起爆剤に
独り眼鏡を光らせ"週3でこいこい
…俊平ジョーク…では無い
呟きが怖いw#ミギとダリ pic.twitter.com/5BYNXJWuHC
#ミギとダリ 13話。凄惨な前回から一転の大団円に感動😭 完成度高く名作認定。瑛二は少年院、一家離散と落としといての終幕には泣かされた😭 ダリは火傷のせいで辛い決断をしたけど、最後は秘鳥改めミギダリとして受け止めて貰えて本当に良かった😊 幽霊みっちゃんまでフォローあって泣いた。#ミギダリ pic.twitter.com/k4Ob6pHfcO
— ぎんこさん (@ginkosankakuii) December 26, 2023
細かいこだわり
この作品を支えるのが、細部のこだわりです。
#ミギとダリ
— 歩く梨タイム (@ukkun_rail_navi) December 25, 2023
ダリが旅立つ時に乗っていた列車が、ちゃんと三木鉄道の色違いみたいな車両になっていたのがよかった。(原作でも再現されていた。)
実際に、神戸市北区からそんな遠くない所で、かつて走っていて列車だから…。
個人的に着目していたポイント。
原作者のこだわりはもちろんのこと、そんな原作者に応えようとでもいうようなスタッフたちのこだわりも細部までいきわたっており、スタッフたちに大事に作られた作品であることが伺えます。
見終わった人に共感してもらえるんじゃないかと思うんだけど、ed Nulbarichのskylineめちゃくちゃミギとダリです
— 死んじゃおロースー (@na_me_______) December 25, 2023
結構前に和訳したので置いておきます pic.twitter.com/NBkGnl3Gpb
最終回まで観て、改めて良い作品に巡り会えたと思いました。携わる事が出来て非常に光栄でした。
— 煮ル果実 (@vinegar_vinegar) December 25, 2023
主題歌ユウマガドキのラスト「こころはひとつ」という歌詞の一文は原作の最終話タイトルから頂きました。
佐野菜見先生に届いていると良いな、と思います。#ミギダリ #MigiDali #anime
瑛二が幼い頃に母と見たプラネタリウムのシーンで解説されていたのは、うお座。
うお座の由来は、怪物テュポーンから逃げる女神アフロディテとその息子エロスが変身した姿。
二人ははなればなれにならないよう、しっぽをひもで結んで逃げたのです。
母怜子の所業は許されないことですが、それでも瑛二にとっては無二の母だったことを感じさせます。
最後のフランス語メッセージの意味は?
ダリを乗せた電車が遠ざかっていく中、不意に現れたみっちゃん(幽霊)が以下のようなメッセージを書き残して去ります。
à la mémoire de
Sano Nami
Fin.
『Fin』が終幕の言葉であることはわかりますが、その前の文章はフランス語であるため、心得の無い人にはちょっとわかりませんよね。
『mémoire』は「メモワール」と読みます。「記憶、思い出」「(後世の)名声」「追悼」等の意味があります。
原作者の佐野菜見先生は、闘病しながらもアニメの監修に関わり、完成を楽しみにされていたと聞きます。
最後の最後まで、佐野菜見先生と共に作られたアニメでした。
改めて、佐野菜見先生と、先生の気持ちに寄り添って作られたアニメスタッフの皆さまに感謝申し上げます。
作品集発売予定⁉
アニメ『ミギとダリ』完結に伴い、嬉しい発表がありました。
なんと、佐野菜見先生の作品集が企画中だというのです!
TVアニメ『ミギとダリ』完結しました。
— ハルタ (@hartamanga) December 26, 2023
原作や佐野菜見さんへの愛が込められた、これ以上ない幸せなアニメ化でした。
関わってくださった皆様、ありがとうございました。
現在、佐野菜見さんの作品集を企画中です。…
佐野菜見先生の作品を、デビュー作から盛り込んだ内容になるそうです。
続報を待ちましょう!
まとめ
アニメ『ミギとダリ』最終話まで描き切り、見た人たちは「今期のダークホース」と盛り上がりました。
佐野菜見先生の作風は独特な間と雰囲気が絶妙なので、それをアニメでどこまで再現できるのか、最初は不安もありましたが、
最初から最後まで原作愛にあふれたアニメ化の仕方で、安心して楽しむことができました。
かなりエグイ事件を、キャラクターの魅力とシュールギャグ、何より子どもたちの成長と園山家の愛が緩衝材となり、見事な大団円を遂げました。
こんなに読後感の好いサスペンスは、なかなか無いのではないでしょうか。
佐野菜見先生の完成度の高さと、それを的確にくみ取り彩ったアニメスタッフの手腕は素晴らしいものでした。
素晴らしい作品を、ありがとうございました!