『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、2016年に公開されたストップモーションアニメ映画です。
製作はストップモーション・アニメで有名なアメリカの製作会社ライカ。
しかし、作品の舞台は日本です。
ストップモーションアニメとは思えないほどダイナミックに、
アメリカ製作とは思えないほど日本文化の解像度が高く、
ストップモーションアニメでしかなしえない手触り感で仕上げた今作は、観る人に衝撃を与え、数々の賞にノミネート、受賞し話題となりました。
そんな『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』、公開後も配信サイトでの配信だけでなく、NHKでも2024年3月4日と5月6日という短期間に放映、再放送されることとなり、その反響の高さが伺えます。
ここでは、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密(以下『KUBO』)』の凄さと評判にせまります。
『KUBO』の声優は誰?
『KUBO』は、内容もさることながら、原語・吹き替え版双方の豪華なキャスティングも話題となりました。
役名 | 原語版 | 日本語(劇場版) | 日本語(機内上映版) |
---|---|---|---|
クボ | アート・パーキンソン | 矢島晶子 | 矢島晶子 |
サル/サリアツ | シャーリーズ・セロン | 田中敦子 | 田中敦子 |
クワガタ/ハンゾウ | マシュー・マコノヒー | ピエール瀧 | 森田順平 |
月の帝(ライデン) | レイフ・ファインズ | 羽佐間道夫 | 羽佐間道夫 |
闇の姉妹(カラスとワシ) | ルーニー・マーラ | 川栄李奈 | 大原さやか |
ホサト | ジョージ・タケイ | 佐野康之 | 佐野康之 |
ハシ | ケイリー=ヒロユキ・タガワ | さかき孝輔 | さかき孝輔 |
カメヨ | ブレンダ・ヴァッカロ | 小林幸子 | 小林幸子 |
マリ | メイリック・マーフィ | 杉山あいり | 杉山あいり |
日米ともに名だたる俳優・声優を配役しています。
『KUBO』は何が凄い?
KUBOの大きな特徴は、監督の日本文化への理解の深さと、CGと見まごうばかりの緻密で滑らかなストップモーションアニメ技術でしょう。
なつかしいKUBO紹介イラスト。文字がぎっしりで読みづらい(率直)https://t.co/OsS359NYDa
— ぬまがさワタリ (@numagasa) March 3, 2024
リクエストありがとうございました!
— suna (@suna107) September 24, 2018
「KUBO 二本の弦の秘密」の感想を描きました。#一生のお願いだからクボを観て のハッシュタグが流行ったのも記憶に新しい #映画 pic.twitter.com/2s7MzlZXNe
監督のオタク魂
公式サイトを見ると、トラヴィス・ナイト監督が影響を受けた人物や作品の名前が随所に列挙されています。
- 黒澤明
- スティーヴン・スピルバーグ
- 宮崎駿
- リドリー・スコット
- デヴィッド・リーン
- ジョージルーカス「スター・ウォーズ」
- 葛飾北斎「神奈川沖浪裏」
- 木版画家斎藤清「会津の冬」等
- 歌川国芳「相馬の古内裏」
実際に『KUBO』を見た人なら、思い当たる節があるのではないでしょうか。
ナイト監督は、ご自分が影響を受けたものを突き詰め、消化し、この作品の血肉として色づけているのです。
ナイト監督が好きなのは日本のアートだけではありません。8歳に訪日して以来生粋の日本オタクで、『KUBO』の製作にも日本オタクとしてのこだわりが隅々までいきわたっています。
もちろん日本スタッフも呼び寄せており、盆踊りの監修を90歳の振付師サホミ・タチバナに頼んだり、通訳兼コンサルタントのタロウ・ゴトウに細かなところまでより日本に寄せられるよう指示を仰いでいます。
また、クボの眼帯は伊達政宗、柳生十兵衛から来ていますし、クボの父ハンゾウは『七人の侍』三船敏郎をモデルとしています。
これらのこだわりを、日本独自の美意識「わびさび=儚さや不完全さを美しいものと考える価値観」でまとめて見せたのですから、これを日本ではなくアメリカで制作されたとはちょっと考えられないレベルです。
スタッフも勉強熱心
そのこだわりようは、監督だけにとどまりません。
衣装スタッフは、日本の皇室の歴史を紐解き、衣装を研究。
そこにイッセイミヤケの有名なプリーツや折りの技術を加えました。
履物が人の歩き方、動きにどう影響を与えるのかまで分析したというのですから、脱帽です。
日本文化を日本人以上に読解しているといっても過言ではないでしょう。
ストップモーションアニメの作りこみ
これだけこだわりが強いと、製作にも大きく時間を取られます。
なにせ、一週間かけてようやく3.31秒分(平均)しか撮れないほどだったと言うのですから、素人からすると途方もない話です。
3Dプリンターを駆使
ストップモーションアニメというと、『モルカー』やNHKのプチプチアニメシリーズのような、身近な素材を扱った手作り感を想像してしまいますが、『KUBO』は違います。
『KUBO』の繊細な表現を可能にした立役者は、実は3Dプリンターなのです。
プリンター会社ストラタシスの技術者とタッグを組み、同社の新製品である3色の樹脂プリンターConnex 3を使用。
さらに『KUBO』のためだけに独自ソフトウェアも開発。
その集大成が、作中に登場するムーンビーストで、これは完全3Dプリンター人形です。
有史前の魚がモデルで、881の部位を130色で彩りました。
フルサイズで作られた手は1.1メートル。58個の部分からできています。
3Dプリンターは各キャラクターの表情にも使われており、3Dプリンターで顔の上部分と下部分を分けてプリントすることで表情の幅を大幅に広げました。
その結果、クボの表情の数は4800万通り、サルの表情の数は3000万通りと、けた違いなことになったのです。
『KUBO』の評判
『KUBO』は、日本ではあまり名の知られていない製作会社による、流行りとは言えないストップモーションアニメ、それもオリジナル作品ということで、最初は注目されておらず、上映館も少なかったのですが、反響の大きさから次第に増えていったと言います。
SNS上に残る意見も、良い評判が多数です!
良い評判
『KUBO』公開当時、流行ったタグがあります。
#一生のお願いだからクボを観て
これだけで、観た人たちの熱意が伝わるというものです。
日本文化の表現が素晴らしい
大切な人の思い出は強い力となる…⭐️
— 霧隠才蔵 (@jigen99) March 3, 2024
灯籠流し、月の帝、そして死者の魂…🌙
美しくて切ない、少年の成長譚。この物語はまだ続く…💕#KUBO #クボ二本の弦の秘密 pic.twitter.com/i50xSG0H4j
やはり多くの人が、アメリカで作られたものとは思えない日本文化のリアリティに舌を巻いています。
それは画面上だけではなく、わびさびや盂蘭盆会などの内面まで、日本人が意識しないほど繊細なところを描こうという心意気に驚かされています。
魅力的なストップモーションアニメ
「#KUBO / #クボ二本の弦の秘密」
— SEIMEI (@2018SEIMEI) March 7, 2024
を見ました。
3DCGで制作されてるのかと思ったらEDにコマ撮りで制作してる様子のタイムラプスが流れて、これ作った人達の執念凄まじいなとw
主人公の少年クボが三味線を奏でると折り紙が想像した物になる描写等、どうやって作ったか見たいな〜。
ストップモーションアニメとしてのクオリティの高さも、他の追随を許さない勢いです!
YouTubeでメイキングも公開されていますが、製作風景を見ているだけでも胸が躍ります。
物語の深さに感激!
#クボ という映画を見た。
— 田村由兔(たむらゆうと) 漫画家になりたい (@GcH86k5vQ2xQTSn) April 11, 2024
日本が舞台の、家族愛を描いた冒険ファンタジー。
※海外アニメ映画
最後まで見て、感動した…!
クボという少年が、母親から聞いた伝説の武器を手に入れる王道的な話かと思いきや。
仲間になった、サル、クワガタに秘密があったり、敵との関係を描いた物語となっていた。
ストップモーションアニメの傑作!
— Minka (@minka0minka) March 3, 2024
#クボ二本の弦の秘密
NHKプラスで3月10日(日)4:56まで配信中だよ。
キャラデザイン最高。私はニホンザルとクワガタが好きだな。かっこいいよね。
折り紙の侍に導かれ、3つの魔法の武具を探す旅に出るなんて、もうワクワクじゃん。三味線サウンドも響きまくるよ。 pic.twitter.com/NAL9Yol56g
話は複雑ではないため、子どもでも理解しやすい内容ですが、魅力的なキャラクターや繊細な心理描写に、大人も思わず引き込まれます。
悪い評判
エンドロール 鬼長なのでございます🫢#KUBO #クボ二本の弦の秘密
— ハケ"ᒼᑋªⁿ (@ChanWarer2) March 3, 2024
しかし、クオリティの高さは誰もが納得する出来ですが、中には満足できない人もいます。
エンディングでもやもや?
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』Eテレで放送するんか。
— 雑賀礼史『真リアルバウトハイスクールXX』6/20発売! (@saigareiji) April 15, 2024
凄い作品であるのは確かだし、評価は観る人次第だと思うけど……決着の手段が「それ敵が使う一番邪悪な罠なんだけど主人公側が使う分にはセーフなの?」とモニョるんだよな。 pic.twitter.com/fZmdaymRnD
子どもでもわかる内容なので、年齢問わず楽しめる、という利点はあるものの、
その分わかりやすい話で、物足りなさを感じる人もいるようです。
また、主人公クボの最後の決断が納得できない人もいました。
日本文化にツッコミどころ有
やはり、異文化を理解し表現することはとても難しいもので、外国の監督であることを考えればよく出来たレベルではあるものの、日本人から見ると細かいところやニュアンスは、ずれを感じる点があります。
それを「創作だから」と勢いで楽しめるか、クオリティが高いからこそ微妙なずれが目についてしまうかどうかは、人を選ぶようです。
CGでもいい?
『KUBO』のストップモーションアニメ技術は間違いなく最先端。
しかし、ここまでくると「ストップモーションアニメである意味」を見失う人もいるようです。
手間暇も時間も金銭も多大に消費するストップモーションアニメ。「CGでもいいのでは?」という疑問を抱く人もいました。
NHKでいつ放映?
ストップモーションアニメとして近年まれにみる大絶賛を受けた『KUBO』。
NHKでも2024年3月3日に放映されるや否や、大反響がありました。
そのため、再放送が決定。
Eテレ 2024年5月6日(月) 午前8:45~10:26
NHKならではの中途半端な時間帯なので、お見逃しなく!
ただし、万が一見逃しても、放送から1週間はNHK+で配信される予定です!
まとめ
8年も前の作品なのに、いまだにファンを熱くさせるストップモーションアニメ映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』。
その秘密は、監督やスタッフたちの常識はずれなこだわりようにありました。
3Dプリンターも駆使して作られた最先端のストップモーションアニメは、今見ても目を見張るものがあります。
是非、多くの人に見てほしいです!