『ベルばら』と聞けば誰もがフルタイトルを思い描けるほど名の知れた名作『ベルサイユのばら』。
それが、2025年1月31日(金)からアニメ映画版を公開しており、原作や旧アニメのファンも、『ベルばら』の名前しか聞いたことない初心者も、多くの人が劇場に足を運んでいます。
しかし、『ベルばら』と言えば1970年代前半の少女漫画。
ザ・昭和の少女漫画と言わんばかりのあの絵柄に演出、それを現代のアニメ映画にして古臭さや違和感は感じないのでしょうか。
また、全10巻に渡る原作を113分の映画にどのようにまとめたのでしょう。
ここでは、映画『ベルばら』に寄せられた様々な評価を、旧来のファンも初心者も合わせてご紹介します!
映画『ベルばら』の評判
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映画『ベルサイユのばら』の評判は、良い評判も多くありますが、やはり113分の映画一本にまとめるのはなかなか難しかったのか、厳しい評価も見受けられます。
悪い評価
悪い評価の多くは、やはり尺の足りなさからくるものが多い印象です。
原作は全10巻と短めに感じられますが、実際に読んでみると「よくこれだけの内容を10巻にまとめられたな!」と感心するほど濃厚な内容です。
ストーリーも心理描写も人間関係も歴史考証も、それぞれがあまりにも濃厚で、それをオスカル、マリーアントワネット、フェルゼン、アンドレの4人を主軸に、それぞれが様々な角度でドラマを展開していくのです。
これを破綻せずに10巻にまとめられたという事実自体が奇跡のような作品。
それを一本の映画にまとめるために取られた策は、「オスカルのドラマに集中して仕上げる」というもの。
思い切った決断ですが、やはり賛否わかれました。
端折りすぎ
やはり、どうしても目にするのは「端折りすぎ」問題。
ドラマとして成り立たせるために必要な箇所や、説得力を持たせるための心理描写、印象的なセリフなど、どうしてもかなり削られた内容となりました。
その結果「もしも応援上映をしたら、削られたセリフをみんなで言い合って補完することになるのでは」なんて言う人も。
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長い原作の映画化となるとどうしてもぶつかる壁ですが、原作があまりにも濃厚すぎるが故に、やはり無理はあったのかもしれません。
また、アンドレは確かに、主軸4人の中でも「主人公」と言ってもいい人物。
ではあるのですが、実は、物語半ばで退場するキャラクターでもあります。
彼女が退場した後から終盤の、辛くも心震わす内容に重きを置く人には、どうしても残念な思いをさせてしまう映画になってしまいました。
歌い過ぎ
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『ベルサイユのばら』と言えば宝塚。むしろ宝塚が原作と思っている人までいるほど、『ベルサイユのばら』を世に知らしめた力が宝塚版『ベルサイユのばら』にはあります。
そんな宝塚版と宝塚ファンを意識したのか、ミュージカルと言っても過言ではないほど歌やダンスを多用した演出を取り入れています。
これが、合う人はいいのですが、合わない人は合わない。
特に、セリフとバックの歌が被ってしまうと、慣れない人には「うるさい」「肝心のセリフが聞き取れない」「集中できない」となってしまうようです。
良い評価
原作の内容を思い切って削り、オスカルのドラマに焦点を絞られた映画『ベルサイユのばら』。
しかし、それで正解だったと評価する古参ファンや、むしろこれをきっかけに『ベルばら』沼にハマった初心者も多くいます。
オスカルのドラマに絞って一つの作品に仕上げた
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賛否わかれますが、どうしても時間の限られる映画版。
あれもこれもと欲張らず、オスカルのドラマ一本に絞ってまとめ上げたこと、補完しきれない内容を歌や演出で補いテンポを保ったことなど、「一つの映画としてうまくまとめられていた」と満足する人も多いようです。
原作があまりにも偉大過ぎるため、ついつい大きな期待をしてしまいますが、
現実的なエンターテインメントとしては、一つの落としどころとして英断を下せたのかもしれません。
キャストが合っている
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アニメの映像化となると、多くの人が心配するキャスト。
これがまた全体的に評価が高く「このキャスティングでちゃんと尺を取ってTVアニメ化してほしい」と言う人も多くいます。
演技力に定評のある実力派を揃えただけはありますね。
原作愛を感じられる
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原作のカラー絵を取り入れたり、主軸の4人それぞれを解釈した演出が合っていたりと、原作愛、原作へのリスペクトを確かに感じられる作品にもなっています。
原作愛をふんだんに入れながら、舞台となる17世紀に合わせたドレスデザインや調度品を取り入れたりと、時代考証も雰囲気を壊さずにうまく取り入れていることも評価されました。
映画『ベルばら』のまとめ
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映画『ベルサイユのばら』は、濃厚な原作を時間の限られた映画1本にまとめるため、多くのものを割愛せざるを得なかったのは事実です。
その結果、物足りなさを感じたり、整合性が取れていないように受け取る人も出してしまいましたが、
「オスカルのドラマ」に絞って丁寧に描かれた内容は、一つの映画としてまとめられたと評価する人も多く、新たに沼にハマる人も増やしています。
しかし、今見ても目を見張るものがある重厚な原作ですから、これをきっかけにキャスト・スタッフを変えず、TVアニメ版など十分な尺をとった完成版を見てみたいですね!