「リズと青い鳥」は、控えめに言ってヤバかったです。
映画が公開されて1週間ぐらい、わたしは頻繁にこの文字をTwitterで見ていました。
それで、本当にこの作品を恐れました…
本当は、劇場に見に行きたいけど、絶対に帰れなくなるくらいやられると確信があったからです。
響け!ユーフォニアムが大好きだから
ちょっとだけユーフォの話や過去の私の話をすると、私は吹奏楽部に入っていた経験があります。
だから、本当にリアルに描かれているユーフォには度肝を抜かれました…
「リズと青い鳥」は、そんな「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ作品で別の角度から、見たお話になりますので、怖ろしくてたまらないはずないんですよね…
でも今回、思えば時間はかかりましたが、向き合ってみようと思ってアニメを視聴しました。
1.2人の関係の美しさ
息を存分に使うフルートと息が余りまくるオーボエ。
— 香 織 (@Kitauji_WindEns) June 26, 2022
横構えのフルートと縦構えのオーボエ。
それでも同じC管楽器で、掛け合いも多くて、その調和の美しさは息を呑むほどに美しくて…
希美とみぞれのキャラクターって、そんな楽器の対照を実に巧みに、見事に描き出しているように思えてなりません… pic.twitter.com/dltdHEfVl9
この作品の「リズと青い鳥」の題名通り、2人の主人公の希美とみぞれの関係がとにかく美しいと感じました…!
オタクっぽく簡易的に、語彙力ゼロで言えば「百合尊い」に尽きるんですが、とにかくお互いの気持ちのせめぎあいやすれ違いが青春!って感じで実に美しいと感じましたね。
2人の関係に対して、それぞれの考えや想いからその美しさをお話しようと思います。
まず、みぞれ。彼女のずっと希美に片思いをしているようなところが美しいです。希美のことずっと考えているんですよね。理科室にいても。
そして、
「違う。希美は悪くない。窮屈なのは、私が青い鳥を逃がせないから。だって希美は今度いついなくなるかわからない。私からは私の手でのぞみを開放するなんて絶対できない。できるわけない。私がリズなら青い鳥をずっと閉じ込めておく」
という、セリフ…。
もう私には「付き合って私のものにしたい。ずっと私のそばにいてよ。私には、そんなことを言う勇気なんてないよ」と言っているようにしか聞こえませんでしたね。(最終的に見事に伝えられましたが)
でも、きっと完全に希美がみぞれに振り向くのは違うと、みぞれは思っていると私は感じています。みぞれはみんなに優しくて頼られるみんなのもの。みたいな。
だからこそ、この複雑な関係が美しい…!と思えるんですよね。
対する希美は、別にみぞれのことを、みぞれほど大好きではないんですよね。
何となく“友達多い女の子あるある”って感じで、何に対してもさらっとしてるんですよね。
「みぞれは、音大受けるの?ふうん。わたし、ここの大学受けようかな」(この時すごく真剣には考えていない)
「みぞれ、わたしによそよそしくない?わたし1年の時に1回部活やめたでしょ?その時のことまだ根に持ってたりしないかな。みぞれって思ったことあんましちゃんと話してくれないから、いまいちちゃんとわかんなくって。ソロのところも息き合わないし」
「青い鳥って、リズに会いたくなったら会いにこればいいと思うんだよね。」
どのセリフもそうなんですけど、”とりあえず自分の気持ちを伝えることを最優先にしていて、話した時には相手の気持ちをあまり考えていない”んです。
これは、友達が多いことでいろんな意見を求められることや、いろんな考えを知ってて、とりあえずこう考えとこう!間違いに気づいたら直せばいいや!って感じの感覚を持ってるんではないかなと思いました。
でも、受け取る側のみぞれはそれが全てなんじゃないかとか、希美よりいろんな考えを持っていないわけで。それで、客観的にみて希美に感情的に振り回されて本心を聞けなくて、“希美は勝手だ!”となってしまいますよね…
でも、そうやってちょっとズレは起きてしまうものの、希美はみぞれにちゃんと好意を示しているんですよね。
図書室でみぞれを助けてあげたり、常に気にかけていたり、最後のシーンでは、みぞれがよくいる理科室にいました。
表現の仕方も受け取り方も違うけど、確かに2人は素敵で美しい関係なんですよね。
2.数々の伏線
最初は「リズと青い鳥」が始まって、わけがわからなくて正直、何を見せられているんだ…?と思ったのですが、“リズと青い鳥”と“希美とみぞれ”という2つの話が交互に出てきて「フルートとオーボエが、リズと青い鳥を表しているといわれているわ」と言うセリフが出てきて、本当に鳥肌が立ちました。
それに、お話の内容は、響け!ユーフォニアムを観てない人でも楽しめる内容でしたが、ユーフォの主要キャラがちょいちょい出てきたりして、とても楽しかったです。
しかも、この映画の内容が次の映画の内容につながっていたのが本当に鳥肌ものでした…(私は、リズを観る前に先に誓いのフィナーレを観ていました)
時系列の順番で見るなら、アニメ1期、2期、リズと青い鳥、誓いのフィナーレがオススメです。
こうやっていろんな伏線が隠されているとか、キャラクターの新しい一面がみられると、またアニメを1期から全て見返したくなってしまいますね…!
へたくそな水戸黄門が恋しくなってしまいます…
最後のハッピーアイスクリーム!も、最高すぎてめちゃくちゃ変な声が出ました。
3.感情を表す演出
京アニって結構こういう演出にこだわっていて好き。というのが私にはあります。
どういうところか詳しくお話しすると、まずは冒頭の希美とみぞれが一緒に学校に行くところ。
最初にも書いたように、みぞれって実質片思いじゃないですか。その演出を”みぞれの視点”からしているのがすごくて。
希美のポニーテールが揺れる描写、希美のことを目で追う描写、のぞみがみんなと話しているところをみぞれの方向から見ているという描写…というところ。
片思いをしている人なら誰でも思わずしてしまうそんな感覚で描写されているんです。
また、オーボエ1年生の梨々花がみぞれと関わり、仲良くなることも、希美とみぞれの仲を間接的に表すような効果があるのかなと感じました。
夏休みにコンクールに選ばれなかった梨々花を元気づけるためにプールに誘ったところとか。
希美の「へぇ、みぞれがほかの子誘うなんて意外!」って反応は「私以外の女の子誘ったりするんだ」というちょっとした嫉妬みたいに感じられました。ああ、希美もみぞれが好きなんだなって。そんな表現がありした。
本当に、こちらまで希美に恋してしまってるんじゃないかと思うくらい恋している感覚を鮮明に描いています(作中で恋愛的に好きとは言ってないですが、百合じゃんと思うところはたくさんありましたよね)
でも、この作品の中で、私が一番演出にドキドキしたのは、みぞれがソロの部分を吹きたいと申し出て演奏したシーン。
自分なりの答えを見つけ出せて、覚悟を決めたようなみぞれのまっすぐな目の描写。
希美がみぞれをみていると感じられる目の動き。演奏中の髪の動きや体の動き。フルートを握る手に力が入るところ。希美がハッとしているところ。時々演奏風景がぼやぼやしているところ。
その後に演奏で表現したことを答え合わせするかのように2人で本当の気持ちを話してましたね…。
演奏のシーンで、めっちゃ考察してしまったわたしは希美がプレッシャーを感じてすれ違っていることが切なくて悲しくてその時点で泣いてしまったのですが、「希美聞いて。希美はいつも勝手。ずっと希美を追いかけてきた。見放されたくなくて楽器を続けた。私の1番はずっと希美で、希美といられればなんだっていい。大げさじゃない。全部本当。のぞみが私の全部なの。希美は私の特別」と自分の想いを全部告白して、大好きのハグをしたのが本当に最高過ぎて、そこでもわんわん泣きました。
効果で心の内を表現して、言葉でその表現を助長する。本当に心の芯まで染み渡るような演出だなと思いました。
最後にリズと青い鳥まとめ
みんなの言っていたことは正しかったなと思いつつ、なんで我慢して観なかったんだろうと少し自分に遺憾でした。
誓いのフィナーレの続編もアニメ3期で久美子3年生編で制作決定していますし、始まる前にまた全部見返して観て、北宇治カルテットに心を奪われたいと思います。
そんな「リズと青い鳥」を無料で見る方法は、こちらの記事でまとめましたので、一度視聴してみてください。