天然水とは?意外と知らないお水の疑問。知っておきたいことまとめ

採水地

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「天然水」という言葉をよく耳にしますが、どんな水のことを指しているのかご存知でしょうか?なんとなくイメージはできても、正確な意味や分類についてはよくわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、天然水とはどんな水なのか、意味や成分などについて詳しく解説します。

また、美容や料理、ダイエットなどシーン別に、どんなタイプの水が適しているのかについてもご紹介します。水についての疑問を解消していきましょう。

天然水ってどんな水のこと?

天然水とは?天然水の定義は、はっきりと決まっていないというのが現状です。

「天然」とは、人の手が加えられていない自然の状態を指すので、「加工などされていない自然の状態に近い水」ということはイメージできるのではないでしょうか。

ちなみに三省堂の大辞林では「天然水」は、「地下水を濾過・沈殿・加熱殺菌の方法だけで処理した水」と書かれています。

やはり、濾過・沈殿・加熱殺菌など最低限の処理だけがなされている水といった認識のようですね。

ミネラルウォーターとの違いは?

お水の違い天然水、ミネラルウォーター、ナチュラルウォーターなどいろいろな名称がある飲料水。どれも似たような意味で、どんな違いがあるのかよくわかりませんよね。

農林水産省は、ミネラルウォーター類の品質表示についてのガイドラインを設けています。

このガイドラインでは、水の飲料を大きく次の4種類に分類しています。

①ナチュラルウォーター
特定の水源から採水されていて、濾過、沈殿、加熱殺菌以外の加工がされていないもの

②ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのなかで、ミネラル成分を含むもの

③ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターをベースにしてミネラルの調整がされていたり、複数の水源から取れた水を混合しているもの

④飲用水・ボトルドウォーター
上記の①②③に当てはまらないもの

これを簡単にまとめると、①がとくにミネラル成分などを含まない天然水、②が自然のミネラル成分を含む天然水、③成分の加工や複数の天然水の混合など人の手が加えられている水、それ以外が④となります。

表示に「天然」や「自然」またはこれ類似する用語を使えるのは①と②だけで、それ以外のものにはこうした用語は使用できません。

農林水産省のガイドラインをもとにすると、ひとつの水源で採水されていて、濾過、沈殿、加熱殺菌以外の加工がされていないものを「天然水」と考えるといいようです。

水道水との違いは?

天然水と水道水の違い飲み水としてはもちろん、お風呂や洗濯など、おそらく日常生活で一番よく使用されているのが水道水でしょう。

今までずっと使っていて問題もないし、わざわざ天然水にしなくても、水道水で十分と感じている方も多いと思います。

天然水と水道水、比較するとどんな違いがあるのでしょうか?

殺菌方法の違いが味や臭いに影響

天然水の水質検査日本の水道水には、厳しい安全基準が設けられています。水道法によって定められている規定は51項目以上と、とても厳しいものとなっています。

これは、「水は毎日口にするもの」と認識されているためです。

安全な水を供給するために、浄水場ではしっかりと殺菌や消毒がされます。水道水は殺菌や消毒で使われる塩素の影響で、水に独特の味や臭いがつくということもあるようです。

天然水は前述のように「濾過、沈殿、加熱殺菌以外の加工」がされていません。当然薬品などによる殺菌や消毒も行われていません。

気になる臭いや後味もないので、水道水よりも飲みやすいと感じる人が多いようです。

もちろん、薬品による殺菌・消毒を行わなくても、安全には問題ありません。

天然水は、食品衛生法によって定められている水質基準を満たしたものしか販売されていないので、安心して飲んで大丈夫です。

栄養素にも違いがあります

天然水の違いは?軟水と硬水の違い栄養素についてはどうでしょうか?

水道水には、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれています。

採水地の水質によって異なりますが、基本的にはナトリウムとマグネシウムの含有量は、水道水も天然水もそれほど大きくは変わりません。

カルシウムに関しては、天然水のほうが多く含まれていることが多いです。

水道水も天然水も原水により各種成分の含有量が異なるので、どちらにどの成分が多く含まれているということは一概にはいえません。

都道府県によっては、細かい水質のデータを公表しているところもあるので、気になる方はお住いの地域で供給されている水について調べてみるといいかもしれませんね。

飲みやすさの違い

天然水は飲みやすいその水を飲みやすいと感じるか、飲みにくいと感じるかは個人差があると思います。

飲みやすいかどうかの判断は難しいところですが、一般的には水の硬さである「硬度」が、水の飲みやすさに影響しているといわれています。

「硬度」とは、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わしたものです。

カルシウムやマグネシウムが1000ml中に120mg以上含まれている水は「硬水」と呼ばれ、120mg以下の水は「軟水」と呼ばれています。

東京の水道水の含有量は平均で60mgくらいなので、軟水となります。

日本でもよく目にする海外から輸入されたミネラルウォーターは、軟水のものもありますが、割合的には硬水のものが多いようです。

一般的には、ミネラル成分の少ない軟水の方が口あたりがなめらかでくせがなく飲みやすいとされています。

ミネラルが少ない軟水の方が、硬水よりも胃腸への負担も少なくなります。

それぞれ特徴があるので、軟水と硬水どちらを選ぶかは、個人の好みによって分かれるところでしょう。

価格を比較してみると

天然水の価格水道水の価格は、全国平均で1リットルあたり0.2円くらい。ミネラルウォーターや天然水の価格は一番安いもので1リットルあたり40〜50円くらいとなっています。

かかる金額についてはかなり差がありますね。

高いと考えるかどうかは、コストを重視するか、健康や美味しさなどを重視するのか、それぞれの価値観によって変わってくると思います。

健康はお金では買えません。健康でいつづけるための投資と考えれば、安いものなのかもしれませんね。

天然水にはミネラル成分がたっぷり入っていて、一般的には健康に良いとされています。

それでは天然水に含まれている成分について、詳しくみていきましょう。

ミネラル

天然水のミネラル天然水に含まれているミネラルのなかでも代表的なものが、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムです。そのほかにも多くのミネラルが含まれています。

①ナトリウム

ナトリウムは食塩の成分でもあるので、醤油や味噌などにも含まれています。体内の水分調整をしたり、筋肉や神経の働きの調整をするのに必要な要素です。

一度に大量に汗をかいたりしてナトリウムが不足すると、筋肉のけいれんや意識障害をおこすことも。スポーツドリンクにはナトリウムが含まれているので、スポーツドリンクや食塩も補給にはいいでしょう。

過剰に摂取されたナトリウムは自然と体外に排出されますが、取りすぎの状態が続いて排出が追いつかなくなると、むくみや高血圧の原因となることもあります。慢性的な過剰摂取状態にならないよう注意が必要です。

②カルシウム

骨や歯の形成に必要なカルシウム。人体のなかにもっとも多くあるミネラル成分です。99%が骨や歯の成分となっており、残りの1%は筋肉や血液中に存在しています。

筋肉や血液中のカルシウムは、血液をアルカリ性に保ったり、神経の伝達や筋肉の収縮をスムーズにする働きをしたりと、なくてはならない存在です。

日本人はカルシウムが不足しがちな傾向があるというデータもあるので、普段の食事では不足していると感じる人は積極的にカルシウムを摂取するようにしましょう。

③マグネシウム

カルシウムと同様に、骨や歯の形成に必要な成分です。体温や血圧、血糖値を正常に保つ働きをしています。マグネシウムが不足すると疲れやすくなったり、注意力の不足、食欲不振、イライラの原因となることもあります。

マグネシウム不足は、うつや不安感、気分の落ち込みなど精神面にも大きな影響を与えることがあります。

また、大量にアルコールを摂取すると、マグネシウムが排出されてしますのでお酒をよく飲む方は注意が必要です。

マグネシウムは摂取しすぎると下痢をおこす可能性もあるので、取りすぎには気をつけましょう。

④カリウム

細胞内液に存在するミネラルで、ナトリウムと一緒に細胞の状態を正常に保ったり、血圧の調整をしています。過剰に摂取されたナトリウムを体外に排出する働きもあるので、高血圧の予防に効果的といわれています。

カリウムもナトリウムと同じように、多量の汗をかくと一緒に体外へ排出されてしまうので、汗をたくさんかいた後は補給するようにしましょう。

カリウムの不足は、むくみや高血圧の原因にもなります。しかし、過剰に摂取すると体外への排出が追いつかず、高カリウム血症を引き起こすことがあるので注意しましょう。

⑤シリカ(ケイ素)

その美容効果に注目が高まっているミネラルです。皮膚や骨、毛髪、爪、血管などに含まれていて、とくに皮膚への影響が大きいとされています。美しい肌や髪をつくるだけでなく、白髪の予防効果も期待できます。

肌の保湿やコラーゲンの生成に働きかけるので、美容に欠かせないミネラルといえるでしょう。ケイ素は副作用がなく、過剰に摂取された分は体外に排出されるので取りすぎの心配はありません。

⑥リン

カルシウムと結合して、骨や歯の形成に作用するミネラルです。そのほかにも、心臓の働きを助けたり、脳の神経の伝達といった役割も担っています。

リンが多すぎるとカルシウムが体内でうまく利用されないため、カルシウムと同程度かカルシウムより少なめの摂取が望ましいとされています。リンは食品添加物として多くの加工食品に利用されているため、過剰摂取が問題視されています。

⑦バナジウム

バナジウムは血糖値を下げる効果があり、糖尿病の予防に効果的と注目を集めているミネラルです。体内の有害物質を排出するデトックス効果や、血流をよくする効果、脂肪燃焼効果も期待できるといわれています。

バナジウムはまだ解明されていない部分も多く、大量に摂取すると毒性があるという研究結果も報告されているようです。

炭酸

炭酸はすべての天然水に含まれているというわけではありません。採水した時点で原水に天然の炭酸ガスが含まれているものを、天然炭酸水といいます。

日本では少ないですが、海外の天然水には自然の炭酸が含まれているものたくさんあります。

炭酸は、疲れのもとである尿酸を排出するので疲労回復に効果があったり、血行促進や便秘の解消にも効果的です。

また、味がないただの水を飲むのが苦手という方でも、炭酸が入っていると飲みやすく感じると思いますよ。
日本の天然水と海外の天然水の違いは?

硬度の違い

お水の硬度の違い。日本の天然水は軟水が多いですが、海外の天然水は硬水が比較的多いです。

これはとくにヨーロッパなどの地域はカルシウムを豊富に含む石灰岩の地層が多く、地下水の滞留期間も長いためミネラルが多く溶け出しているためです。

日本の地形は山や谷が多いため、水が高知から低地へと早く流れます。地層に留まる期間が短いため、ヨーロッパなどに比べてミネラルの吸収が少なくなるようです。

日本は水道水も軟水のため、ミネラルを多く含んだ硬水は飲みにくいと感じる人も多いようです。飲みやすさやまろやかさを重視するなら日本の天然水、ミネラルの含有量を重視するなら海外のものがいいかもしれませんね。

採水地によってミネラルの含有量は異なるので、成分表をよく確認してみましょう。

殺菌方法の違い

日本では濾過、沈殿、加熱殺菌をしたものを「天然水(ミネラルウォーター)」としていますが、海外では基本的に殺菌処理をしていないものを指します。

海外ではミネラルウォーターは人間の手の加えられていない、自然の水であることが条件となっています。

ヨーロッパの採水地では、水質のチェックが細かく行われ、周辺地域での建物の建設なども厳しく制限されています。

原水や周辺地域の環境保護が万全にされているため、殺菌処理をしていなくても安全性が日本の天然水に比べて低いということはありません。

用途によって水を使い分けよう

ダイエット

軟水でダイエット効果?カルシウムやマグネシウムはダイエット中に不足しやすいミネラルといわれているので、ダイエット中はミネラル成分の豊富な硬水を飲むのがいいでしょう。

炭酸水を飲むと満腹感が得られるので、食事の前にコップ一杯程度の炭酸水を飲むと食べ過ぎを防ぐことができます。

美容・美肌

二酸化炭素の働きにより、血行を良くする効果がある炭酸水は美肌効果が期待できます。血行が良くなると顔色もよくなりますよ。

炭酸は肌にやさしく汚れを分解するので、飲むだけでなく、顔や頭皮の洗浄に炭酸水を使うのもおすすめです。肌の表面に残っている古い角質も除去してくれます。

便秘解消

ウォーターサーバーで便秘解消炭酸が体内に入ると腸を刺激し、便を押し出す動きを促すので、便秘解消効果を求めるなら炭酸入りのものを選ぶといいでしょう。

カルシウムやマグネシウムは腸の働きを活発にする効果があるので、マグネシウムを多く含む硬水は便秘解消に効果的ですよ。

疲れやストレスの軽減

炭酸は疲労物質の乳酸を排出するので、疲労回復効果があるとされています。二酸化炭酸により血行がよくなることで、肩こりの改善も期待できます。

カルシウムやマグネシウムは精神を安定させる働きがあるので、ミネラルの豊富な硬水はストレスを軽減してくれます。

飲み物

軟水が飲み物には良い日本茶は旨味や風味を味わうなら軟水でいれるのがいいでしょう。硬度の高い水だと日本茶独特の苦味が抑制されてしまいます。

紅茶は軟水でいれると香りが引き立ちますが、渋みが苦手な場合は硬水でいれると渋みが和らいでマイルドな味になります。

コーヒーなら、香りを引き出すには軟水が適していますが、苦味を際立たせたいならミネラルが豊富な硬水がおすすめです。

筋肉の働きに作用するミネラルも多いので、スポーツの後に飲むなら硬水がいいでしょう。

料理

軟水が料理には最適ミネラル成分を多く含む硬水だと旨味成分が溶け出しにくいので、日本料理には軟水が合うといわれています。

洋食には硬水を使用しましょう。カルシウムが肉のたんぱく質と結びついて灰汁として出るので、とくに肉の煮込み料理などには硬水が適しています。

パスタを茹でるときに硬水を使用すると、ミネラル成分の作用でコシのある茹で上がりになります。

ごはんを炊くときは、軟水を使用するとふっくらとした炊き上がりになります。反対に、チャーハンなど粘り気のないごはんに炊き上げたい場合は、硬水を使うと良いでしょう。

天然水のまとめ

天然水のまとめいかがでしたでしょうか?いつも何気なく買ったり、飲んだりしているミネラルウォーター。様々な種類があり、日本と海外では天然水についての考え方にも大きな違いがあるようです。

毎日の暮らしに欠かせない水。どんな水を自分の生活に取り入れるのか、一度じっくりと考えてみてはいかがでしょうか?